困難な市場環境にもかかわらず、ASMLの2022年通期(2022年1〜12月)の売上高は前年比13.8%増の212億米ユーロと堅調だった。同社はさらに、2023年に売上高が25%以上増加すると見込んでいるという。
困難な市場環境にもかかわらず、ASMLの2022年通期(2022年1〜12月)の売上高は前年比13.8%増の212億米ユーロ、純利益は同4.4%減の56億ユーロとなった。また、同社は2023年、売上高が25%以上増加すると見込んでいるという。
2022年第4四半期(2022年10〜12月)の業績について、オランダ・フェルドホーフェンに拠点を置くASMLは、売上高が予想レンジの中間点である64億米ユーロ、純利益は18億ユーロだったと発表した。ASMLのCEO(最高経営責任者)、Peter Wennink氏は、業績発表後、同社Webサイトに投稿したインタビューで、「60億ユーロ以上の予約を計上し、2022年末の受注残は、過去最高の400億ユーロになった」と述べた。
粗利益率は2022年第4四半期では51.5%、通年では50.5%だった。
Wennink氏は「困難な状況の下で素晴らしい業績を挙げた、非常に良い一年だった」と振り返っている。
Wennink氏は2023年の見通しについて、「インフレや利上げ、地政学的な対立、輸出規制に関する協議が、景気後退を引き起こす恐れがある。スマートフォンやPCなど、コンシューマー関連製品の需要が鈍化し、(中略)データセンター領域の成長率も低下している」と述べた。一方、産業および自動車分野では強い需要を見込んでいるという。
ASMLは重要な極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の唯一のメーカーであり、需要は引き続き供給可能なレベルを上回っている。
Wennink氏は、「顧客が予想する潜在的な不景気の期間は、当社の装置の平均的なリードタイムより短い。われわれの装置の戦略的な性質から、顧客は2023年後半と2024年の景気好転に向けて準備がしたいからだ。つまり、需要は当社が製造可能なレベルより高いままになっている」と述べた。
2023年第1四半期について、ASMLは売上高が61億〜65億ユーロ、粗利益率は49〜50%になると予測。2023年通年では、売上高が前年比で25%以上伸びると見込んでいる。
半導体業界の前例のない成長をけん引する2つのグローバルなメガトレンドは、デジタル化とクリーンな電化だ。
Wennink氏は、「当社の中長期的未来は非常に明るい」と述べた。
McKinseyは、世界の半導体産業は今後10年にわたり成長し、2030年には1兆米ドル規模になると予想している。しかし、その実現のためには、ASMLが顧客にリソグラフィ装置とサービスを供給できなければならないだろう。
Wennink氏は、装置の年間生産能力についても言及した。それによると、2025〜2026年までにEUV装置90台および深紫外(DUV)装置600台、2027〜2028年には高NA(開口数)EUV装置20台を目標にするという。
同氏は、「当社の売上高は2025年には300億〜400億ユーロ、2030年までには440億〜600億ユーロの売上高になると考えている」と語っている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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