東京大学は2023年1月、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームと共同で、走行中の車両のタイヤに道路から無線給電する新技術を開発したと発表した。
東京大学は2023年1月26日、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームと共同で、走行中の車両のタイヤに道路から無線給電し、さらに車体へ給電する「タイヤ内給電システム」を開発したと発表した。
SDGs(持続可能な開発)を実現するため、モビリティの電動化が推進されている。電動化に伴う課題として、航続距離、バッテリー容量、車体の高価格化、製造過程での温室効果ガス排出などが挙げられる。東大と4社は、この課題の解決のため、モビリティの走行中に給電をする走行中給電システムに着目して研究を進めている。
磁界を使用して電力伝送を行う走行中給電システムは、送電コイルと受電コイルのコイル間ギャップを短くすることが重要となる。そこで、東大らは、今回、自動車で唯一地面に設置するタイヤの中に磁界を中継するコイルを配置したタイヤ内給電システムを開発した。
同システムでは、タイヤ内とホイール内に配置した中継コイルに給電し、さらに中継コイルからハブに取り付けられた受電コイルに非接触で電力を送る。タイヤ内の中継コイルと、ホイール内の中継コイルは電線でつなげてあるため、金属製のホイールでも電力伝送が可能だ。また、同システムでは、送電コイルと受電コイルの距離を短くできることから、電力伝送の効率も高められるだけでなく、従来の方法よりも大きな電力を送ることができるという。
なお、今回のシステムは、東大と4社による「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション」社会連携講座の取り組みとして開発したもの。社会連携講座とは、公共性の高い共通の課題について、共同して研究を実施しようとする民間等外部の機関から受け入れる経費等を活用して、学部や研究科などの教育研究を行う機関に設置される講座だ。
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