onsemiは、GlobalFoundriesが保有していた米国ニューヨーク州の300mmウエハー工場および製造施設の買収を完了した。onsemiは、同工場によってパワー、アナログ、センシング技術の成長加速と差別化を図っていく方針だ。
onsemiは、GlobalFoundries(以下、GF)が米国ニューヨーク州イーストフィッシュキル(EFK:East Fishkill)に保有する、300mmウエハー工場および製造施設の買収を完了した。onsemiのCEO(最高経営責任者)であるHassane El-Khoury氏は、米国EE Timesの独占インタビューの中で、「電気自動車(EV)やエネルギーインフラなど、高成長かつ持続可能なアプリケーションで粗利益率の高い製品を製造していく上での後押しとなるだろう」と述べている。
onsemiはこの買収で、1000人を超えるエンジニアと技術者を獲得した。米上院議員であるChuck Schumer氏(民主党、ニューヨーク州)と、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)実行担当商務長官付上級顧問を務めるJ.D. Grom氏は、今回の買収を祝う式典に出席し、米国内の半導体製造の重要性について強調した。
El-Khoury氏はEE Timesの取材に対し、「EFK工場の300mmウエハーのスケールメリットによって、製造コスト構造を改善することが可能だ。最新の設備を備え高度に自動化された同工場は、自動車規格に準拠した高性能半導体チップを製造できるが、当社の量産能力を高め、市場投入までの期間を短縮できるのは、熟練した技術と経験を持つエンジニアたちだ。onsemiはEFK工場の取得によって、イメージセンサーの製造に必要とされる複雑なCMOS製造能力(65nmプロセスノードを含む)を、われわれの製造拠点に追加することになる」と述べている。
さらに同氏は、「こうした高度な製品を必要とする顧客企業としては、自動車メーカーや、再生可能エネルギーメーカー、工業メーカーなどが挙げられる」と付け加えた。
今回の買収計画には、長い期間を要している。onsemiは過去3年間、EFK工場とその従業員たちの長期的未来を確実に守ることを最重要視し、同工場に膨大な投資を行い、同社のパワー/アナログ/センシング製品などの成長を加速させ、よりコスト効率の高い生産構造の実現を目指してきた。
onsemiによると、EFK工場は、同社の米国内の生産拠点の中でも最大規模だという。イメージセンサーの製造に必要とされる特殊な処理能力を備えた65nmプロセスノードなどをはじめ、最先端のCMOS生産能力が、同社の製造プロファイルに追加されることになる。
今回の取引では独占契約が締結され、差別化された半導体ソリューションをGFに提供することの他、研究開発への投資や、両社が将来的な成長を確立するために協業していくことなどが定められた。
El-Khoury氏は、「短期的には、onsemiがEFK工場で生産を拡大していくことで、特に自動車分野の顧客企業にインテリジェントパワー技術を持続的かつ確実に供給できるようになる。また、最先端の設備を備え高度に自動化されたEFK工場は、自動車業界で求められるような最も厳しい品質要件にも準拠することが可能だ」と述べる。
「また、長期的には、生産効率の低い工場からEFK工場に生産を移行し、300mmウエハーの生産能力に莫大な投資を行うことで、製造コスト構造を改善して、競争上の優位性を得られるようになる。また、onsemiのパワー/アナログ/センシング技術における高成長と差別化を実現し、5G(第5世代移動通信)やEV、ADAS(先進運転支援システム)、太陽光発電、エネルギーインフラ、ファクトリーオートメーションなどの重要なアプリケーションにおける成長を加速できる」(El-Khoury氏)
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