成長の核はSiC、生産能力5倍に 三菱電機のパワー半導体:SiCの売上高比率30%目指す(3/3 ページ)
同社は2023年5月には、米国Coherentと8インチSiC基板の共同開発について合意したとも発表しているが、基板サプライヤーとの戦略的パートナーシップ構築による安定調達の確保および技術連携強化を進めていく方針だ。
さらに、積極投資によって生産能力も増強する。2023年3月には約1000億円を投じ、熊本県菊池市泗水地区にSiCの8インチラインを新設すると発表。同ラインは2026年度に稼働し、順次拡張していく予定となっていて、既存の6インチライン(熊本県合志市)増強と合わせ、同社のSiCデバイスの生産能力は、2026年度には2022年度比で約5倍にまで拡張される計画だ。
また、後工程についても、約100億円を投じ、福岡事業所に新工場棟を建設する計画だ。新工場棟では、設計/開発から生産技術検証までを一貫して行う体制を構築し、開発から量産までのリードタイムを短縮、製品競争力の強化を図っていく。
三菱電機のパワーデバイス製造戦略[クリックで拡大] 出所:三菱電機
これらの投資によって、2021〜2025年度までの累積設備投資は、従来計画(2021年11月時点)の2倍の約2600億円となっている。竹見氏は、「2026年度以降もさらなる事業拡大に向けて積極的な成長投資を継続して行っていく」と述べていた。
三菱電機のリソース投入計画[クリックで拡大] 出所:三菱電機
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