三菱電機は2023年3月14日、SiCパワー半導体の生産体制強化に向けた新工場棟を熊本県菊池市に建設すると発表した。8インチウエハーに対応するとともに、6インチSiCウエハーの生産設備も増強する。
三菱電機は2023年3月14日、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産体制強化に向けた新工場棟を建設すると発表した。
新工場棟は、同社が熊本県菊池市の泗水地区に有する拠点を活用する。約1000億円を投資し、SiCウエハー(前工程)の大口径化(8インチ)に対応するとともに、最先端の省エネ性能を備えるクリーンルームを導入する計画だ。これにより徹底した自動化を図り、高い生産効率を実現するとしている。さらに、需要が高い6インチSiCウエハーの生産設備も増強する。
新工場棟の稼働開始は2026年4月を予定している。同社広報によれば、新工場棟のフル稼働時の生産能力については「公表を控える」とし、「熊本地区の2026年度のSiCウエハー生産能力は、2022年度比で約5倍になる予定」と述べるにとどめた。なお、新工場棟の敷地面積/延床面積についても公表しない方針(同社広報)だという。
さらに、約100億円を投資して、パワー半導体の後工程の新工場棟を福岡県に建設する他、約200億円でその他設備の増強や環境の整備などを行う。今回の投資により、2021年度から2025年度までの累積設備投資は、従来計画の2倍の約2600億円になる。
同社はリリースで、「近年、脱炭素社会の実現に向けた世界的な省エネ志向が高まっている。特に、SiCパワー半導体は、電気自動車向け需要の拡大に伴い急速な市場拡大が見込まれるとともに、低損失/高温度動作/高速スイッチング動作等が求められるさまざまな応用分野においてさらなる市場の広がりが期待される。今回の投資は、市場のニーズに合わせてタイムリーな量産を可能にするためのものだ」とコメントした。
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