「機電一体化」のデメリットは、電子系部品の搭載環境が過酷になることだ。温度の上昇、湿度の増加、振動の増大などが生じることが少なくない。
例えばガソリンエンジンの点火モジュールでは、点火タイミング制御回路(イグナイター)と点火コイルを一体化することで、高電圧の配電機構を不要にした。高電圧の配電機構による点火ノイズの発生がなくなるとともに、ノイズ対策部品(コンデンサー)を不要とした。ただし点火モジュールはエンジン内部にレイアウトするので、動作環境が高温下になる。イグナイターは120℃を超える高温にさらされることがある。
「機電一体化」製品の例。左はガソリンエンジンの点火モジュール。右は変速機(トランスミッション)内部にトランスミッション制御ユニット(TCU)を組み込んだモジュール[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)また変速機(トランスミッション)制御ユニット(TCU)を変速機の内部に組み込んだモジュールでは、TCUの組み込みによって小型化が図れるものの、高温(140℃)の潤滑油にTCUはさらされる。このため、短時間ながらも周囲温度150℃の動作を保証したTCUが製品化されている。
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