新製品の最大の特長は、広い駆動電圧範囲と高速な起動時間、短い伝搬遅延を実現している点だ。説明担当者は、これらの性能によって、「あらゆる一次電源(一次側PFC、AC-DC用)回路に対応可能だ」としている。具体的には、同社が独自に開発した高速/高電圧範囲インタフェースによって駆動電圧範囲は2.5〜30V、起動時間は15マイクロ秒(代表値)といずれも市場要求を上回るほか、伝搬遅延も11〜15ナノ秒(代表値)を実現している。
また、入力電圧264Vac、出力電力100Wのフライバック電源回路を構成した場合、競合品と比較し約20%減、Si MOSFETの場合との比較では約55%減の低スイッチング損失を実現。さらに、外付けパワーステージ関連部品は1点のみと、競合による同様のパワーステージICと比較して外付けパワーステージ関連部品点数が8点少なく、アプリケーションの小型化が可能となっている。説明担当者は、「ゲート駆動用ドライバーの高速/広電圧範囲インタフェースをシンプルに突き詰めたことで、競合と比べ少ない部品点数が実現できた」と語っていた。
新製品はオン抵抗(代表値)が150mΩのBM3G015MUV-LBと、70mΩのBM3G007MUV-LBの2種類をラインアップしている。2023年6月に量産を開始していて、サンプル価格は1個4000円(税別)だ。また、両製品についてTO-220パッケージのディスクリート品と容易に置き換えて評価ができる評価ボードを提供するほか、70mΩのBM3G007MUV-LBについては240W PFC評価ボードも用意している。
ロームは今後も650V耐圧GaN HEMTを内蔵したパワーステージICのラインアップを拡充していく予定で、2024年第1四半期および第2四半期ごろには、コントローラーとゲート駆動用ドライバー、GaN HEMTの全てを同梱したオールインワンチップの量産化(下図)も行っていく方針だという。
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