自動運転について、同氏は、商用車向けと自家用車向けの2種類に分けて説明した。商用車向けでは、無人トラック輸送による人手不足問題への対策や、地方のバスやタクシーを無人化することによる交通手段の確保などの用途が考えられるという。同氏は「この場合、高速通信技術は、複数の自動運転車を遠隔でリアルタイム監視する際に活用されるだろう」と述べた。一方、自家用車向けでは遠隔監視の必要がないため、自動車同士が通信を行い、お互いの位置や速度などの情報を交換するなどの用途で通信技術が使われる可能性があるという。同氏は「自動車に組み込まれたAI同士が通信を行うことで、譲り合いの際の“サンキューハザード”などを音声言語で双方の運転手(搭乗者)に伝えるような時代も来るかもしれない」と語っていた。
2025年に開催する「大阪・関西万博」では、一般消費者向けにBeyond 5Gの理解/認知を促進するため、Beyond 5Gの研究開発を行っている情報通信研究機構(NICT)や企業がHAPSや自動運転など次世代技術の展示を行う予定だ。
Beyond 5G/6Gの活用について、増子氏は「正直、Beyond 5G/6Gが普及した後、何に使われるのかの決定打がまだない」とした上で、総務省の取り組みについて「総務省は、将来的にBeyond 5G/6Gを活用した革新的なテクノロジーやビジネスを提供する企業/団体が現れた時に、スムーズに日本社会に出せるように国内外の規則や基準(周波数、規格など)を整備する」と説明した。
総務省は、国土交通省航空局と国内における飛行関係の制度に関する連携/協議を行っている他、直近では、HAPSについて、2023年11月にドバイで開かれる「国際電気通信連合(ITU)世界無線通信会議」でHAPS用の周波数の拡張や運用高度の範囲拡大について議論を行う予定だ。
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