旭化成の子会社である米Crystal ISが、4インチ窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板の製造に「世界で初めて」(旭化成)成功した。今後は、外販も視野に入れ、4インチAlN基板の商業化を目指す。
旭化成は2023年8月17日、同社の子会社である米Crystal ISが4インチの窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板(以下、AlN基板)の製造に「世界で初めて」(同社)成功したと発表した。
Crystal ISは、1997年にAlN基板の開発を目的として設立されたスタートアップだ。現在は、2インチAlN基板を用いてUV-C(深紫外線) LEDを製造、販売しているが、今後はパワーデバイスなどに向け、AlN基板の外部販売も強化していくとする。
AlNはバンドギャップエネルギーが広く、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)よりも低電力損失かつ高耐圧といった特性を持つことから、次世代パワーデバイスやRF(高周波)などの用途への展開が期待されている。しかし、AlN基板の製造は、2000℃以上となる昇華炉内部で精緻な温度コントロールが必要で、これが大口径化(スケールアップ)における最大の課題だった。Crystal ISは、こうした課題に対応するノウハウを持っていて、これまでも複数回のスケールアップに成功してきたという。
現在、Crystal ISは年間数千枚の2インチAlN基板を製造しているが、4インチ基板の商業化により、基板1枚当たり従来比で4倍のデバイスを製造できるようになる。
今後について同社は、「4インチAlN基板の商業化に向けて、使用可能領域(面積)を現在の80%から2023年内に99%に拡大することを目指している」とコメントした。
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