Infineon Technologiesは2023年7月、周波数連続変調(FMCW)方式の1次元測定用60GHzレーダーセンサー「BGT60UTR11AIP」を発表した。送信/受信アンテナを各1つ内蔵していて、サイズは4.05×4.05mmと「市場最小クラス」(同社)だ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2023年7月、波数連続変調(FMCW)方式の1次元測定用60GHzレーダーセンサー「BGT60UTR11AIP」を発表した。主に、バイタルセンシングや睡眠解析などのヘルスケア分野や、IoT(モノのインターネット)分野での活用を想定している。
BGT60UTR11AIPは、アンテナとフロントエンドモジュールを統合したAiP(Antenna in Package)技術を採用し、送信/受信アンテナ各1つを内蔵している。サイズは4.05×4.05mmと「市場最小クラス」(同社)だ。帯域幅は5.6GHz、ランプ速度は400MHz/マイクロ秒だ。これにより、高解像度のFMCW動作を実現し、最大15m(50ft)の範囲で高感度の存在検知と動体検知ができる。その他、正確な距離測定や1次元ジェスチャー検知、バイタルセンシングも可能だ。
評価環境としては、USB接続だけで簡単に評価できる評価ボードの他、人感検知ソフトや距離測定ソフトなどの無料ソフトも提供している。既に受注を開始していて、発送は2023年第4四半期(10〜12月)の予定だ。
Infineonは60GHzレーダーとして、送信アンテナを1つ、受信アンテナを3つ内蔵したFMCW方式レーダー「BGT60TR13C」を2019年11月から提供している。BGT60TR13Cは、3次元測定ができる一方で、販売価格が高く、用途によってはオーバースペックだった。また、2021年2月には、検出器一体型ドップラーレーダー方式の「BGT60LTR11AIP」も提供開始した。BGT60LTR11AIPは、安価で提供できるものの、ドップラーレーダー方式の特性上機能が制限され、正確な距離や速度などの検知が難しかった。
担当者は、BGT60UTR11AIPの開発背景について「レーダーセンサー導入のハードルを下げたいと思い開発した。同製品のターゲットであるヘルスケア分野やIoT分野は、1次元測定で十分な場合も多く、ベンチャー企業も多いため、性能や価格を抑えた製品が必要だと考えた」とし、「FMCW方式のレーダーセンサーは、取得データの活用のためにソフトウェア処理が必要なので、ソフト環境を充実させる必要があった。今回、ソフト環境が整ったため、BGT60UTR11AIPの発表に至った」と説明した。
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