SEMIは、前工程ファブ装置の世界投資額について、「2023年は減速するものの、2024年には回復する」という見通しを発表した。その理由として、「半導体デバイスの在庫調整が終了」したことや、「メモリ需要の回復」を挙げた。
SEMIは2023年9月12日(米国時間)、前工程ファブ装置の世界投資額について、「2023年は減速するものの、2024年には回復する」という見通しを発表した。その理由として、「半導体デバイスの在庫調整が終了」したことや、「メモリ需要の回復」を挙げた。
今回の予測は、最新の「World Fab Forecastレポート」で公表した。同レポートは世界中に存在する1477件のファブに関するデータを収録している。この中には、2023年以降に生産を始める169件のファブも含まれているという。
同レポートによれば、前工程ファブ装置への投資額は、2022年に995億米ドルとなり過去最高額を記録した。2023年は840億米ドルへと減少するものの、2024年には970億米ドルまで回復すると予測した。
前工程ファブ装置に対する投資をけん引するのはファウンドリー部門である。2023年の投資額は前年比1%増の490億米ドルで、2024年は同5%増の515億米ドルと予測した。最先端プロセスだけでなく、成熟したプロセスノードへの投資も継続される見通し。
一方、メモリ部門への投資は、2023年に同46%減と大きく落ち込んだ。しかし、2024年は同65%増の270億米ドルと急回復する。具体的には、DRAM向けが2023年に同19%減の110億米ドルとなったが、2024年は同40%増の150億米ドルとなる。NANDフラッシュメモリ向けは、2023年に同67%減の60億米ドルとなったが、2024年には同113%増の121億米ドルを見込む。なお、MPUは2023年が横ばい、2024年には16%増の90億米ドルと予測した。
2024年におけるファブ装置投資額を地域別に予測した。台湾は同4%増の230億米ドルとなり、首位を維持する。韓国はメモリ需要の回復もあり、同41%増の220億米ドルで2位となる。3位は中国。輸出規制などもあり、投資額は200億米ドルで2023年を下回りそうだ。
これに続くのが米州。投資額は23%増加し140億米ドルとなって過去最高を記録。欧州/中東も同41.5%増の80億米ドルで過去最高になると予測した。日本は70億米ドル、東南アジアは30億米ドルという投資額が、それぞれ見込まれている。
SEMIの会長兼CEOを務めるAjit Manocha氏は、「2023年初めの予測と比較して、2023年の装置投資額の落ち込みは浅く、また2024年の回復は旺盛なものとなるだろう。このトレンドは、半導体産業が下降期を脱し堅実なチップ需要に支えられて旺盛な成長を取り戻すことを示している」とコメントした。
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