東京大学は、電源を内蔵し超薄型で変換効率が高い「ペロブスカイト光脈波センサー」を、スイス連邦工科大学と共同で開発した。室内光レベルの光量環境でも、ペロブスカイトLEDを駆動できる発電が可能だという。
東京大学大学院工学系研究科の横田知之准教授と染谷隆夫教授らは2023年10月、電源を内蔵し超薄型で変換効率が高い「ペロブスカイト光脈波センサー」を、スイス連邦工科大学のローザンヌ校(EPFL)および、同チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究者らと共同で開発したと発表した。室内光レベルの光量環境でも、ペロブスカイトLEDを駆動できる発電が可能だという。
ペロブスカイト光電デバイスは、光電変換効率が高いペロブスカイト結晶を活性層へ用いることで、高効率の太陽電池や、半値幅の狭い発光スペクトルを持つ発光ダイオード(LED)を実現できるという。ただ、PETやPENといったプラスチック基板は高温の熱プロセスに弱いため、高効率のペロブスカイト光電デバイス構造を、極めて薄い基板上に作製することはできなかった。
研究グループは今回、パリレン/SU-8の積層プラスチック構造で、耐熱性に優れた厚み1.5μmのプラスチックを基板に採用した。この基板を用いて作製した超薄型ペロブスカイト太陽電池は、酸化スズを下部電子注入層に持つn-i-p構造で、18.2%の変換効率を達成した。
さらに、ペロブスカイトナノ粒子を発光層へ用いたペロブスカイトナノ粒子LEDを開発した。このペロブスカイトナノ粒子LEDは、変換効率が15.2cd/Aと極めて高い。しかも、半値幅が22nmと極めて鋭い発光スペクトルを持つため、プラスチック基板が機械変形をしても発光色ひずみが抑えられることを確認した。なお、バンドパスフィルターを組み合わせて光脈波計測を行ったところ、98.2%の選択性でノイズのない脈波信号を検出できることが分かった。
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東京大ら、波動関数操作で超高速に磁化を制御Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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