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2023年の世界半導体売上高ランキング、Intelが3年ぶりにトップ急成長のNVIDIAが初のトップ5

米国の市場調査会社Gartnerによると2023年の世界半導体売上高(速報値)ランキングで、Intelが3年ぶりにSamsung Electronicsを上回り、売上高トップとなった。メモリベンダーの落ち込みは顕著で、前年5位のMicron Technologyはトップ10外に。一方急成長のNVIDIAが初のトップ5入りを果たした。

» 2024年01月17日 17時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月16日(米国時間)、2023年の世界半導体売上高(速報値)が前年比11.1%減の5330億米ドルとなったと発表した。ベンダー別で見ると、Intelが3年ぶりにSamsung Electronics(以下、Samsung)を上回り、売上高トップとなった。

メモリベンダーの落ち込み顕著、前年5位のMicronはトップ10外に

 Gartnerによると2023年、メモリ市場の売上高は前年比37%減と、半導体市場の全セグメントの中で最大の下げ幅を記録した。GartnerのVP(バイスプレジデント)アナリストであるAlan Priestley氏は、「2023年も半導体業界の景気循環が見られた一方、メモリ売り上げが史上最悪の落ち込みを記録し、市場は苦難の年となった」と述べている。

 メモリの売上高を製品別に見ると、DRAMが前年比同38.5%減の484億米ドル、NAND型フラッシュメモリが同37.5%減の362億米ドルとなっている。

 こうした中、2023年、半導体ベンダー上位25社のうち売上高を伸ばしたのは9社のみとなり、二桁の減少を記録した企業も10社あったという。また、半導体ベンダー上位25社の半導体売り上げの合計は2023年、前年比で14.1%減に。これは市場全体の74.4%を占める金額だが、2022年の77.2%からは減少した形になった。

 メモリ不況の影響によって、半導体ベンダーのトップ10にも大きな変動があった。2021年にIntelから首位の座を奪い2年連続でトップを維持していたメモリ大手のSamsungは、前年比37.5%減の399億500万米ドルと大幅な減収を記録。Intelも同16.7%減とマイナス成長だったものの、売上高は486億6400万米ドルとSamsungを上回り、市場トップに返り咲くことになった。なお、3位は前年同様、Qualcommで、同16.6%減の290億1500万米ドルだ。

 メモリ大手で前年4位だったSK hynixも前年比32.1%減と大きく減少し、順位を6位にまで下げた。さらに、同じくメモリ大手で前年5位だったMicron Technologyは同40.3%の大幅減となり、一気に12位にまで順位を下げて、トップ10から姿を消した。

世界半導体メーカー別売り上げランキング トップ10【速報値】(単位:百万米ドル)
2023年
順位
2022年
順位
企業名 2023年
売上高
2023年
市場シェア
2022年
売上高
成長率
(2022年比)
1 2 Intel 48,664 9.1% 58,436 ▼16.7%
2 1 Samsung Electronics 39,905 7.5% 63,823 ▼37.5%
3 3 Qualcomm 29,015 5.4% 34,780 ▼16.6%
4 6 Broadcom 25,585 4.8% 23,868 7.2%
5 12 NVIDIA 23,983 4.5% 15,331 56.4%
6 4 SK hynix 22,756 4.3% 33,505 ▼32.1%
7 7 AMD 22,305 4.2% 23,620 ▼5.6%
8 11 STMicroelectronics 17,057 3.2% 15,842 7.7%
9 9 Apple 17,050 3.2% 18,099 ▼5.8%
10 8 Texas Instruments 16,537 3.1% 18,844 ▼12.2%
その他 268,853 50.7% 294,729 ▼8.8%
合計 533,025 100% 599,562 ▼11.1%
出所:Gartner(2024年1月)

NVIDIAは前年比56.4%増と急成長、12位から一気に5位に

 Gartnerによると、メモリを除いた半導体市場は、売上高が前年比3%減にとどまったという。また、AI(人工知能)アプリケーション向け需要の高まりがあった他、EV(電気自動車)などの自動車分野および、防衛/航空宇宙産業分野も堅調に推移。生成AI向け需要の急拡大で好調のNVIDIAは、前年比56.4%増と急成長を遂げていて、前年の12位から5位へと大きく順位を上げ、初のトップ5入りを果たした。また、Broadcomも同7.2%増となり前年の6位から4位へと順位を上げた。STMicroelectronicsは、自動車分野の好調から前年比7.7%増となり、前年の11位から8位にまで順位を上げている。

 このほかトップ10の変動を見ると、Texas Instrumentsが前年比12.2%減となり前年の8位から10位にまで順位を下げた他、前年10位だったMediaTekも同26.2%減と大きく減少し、トップ10外(13位)となった。AMDとAppleは、それぞれ前年比5.6%減、5.8%減とマイナス成長となったものの順位は7位、9位を維持している。

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