米国の市場調査会社Gartnerによると2023年の世界半導体売上高(速報値)ランキングで、Intelが3年ぶりにSamsung Electronicsを上回り、売上高トップとなった。メモリベンダーの落ち込みは顕著で、前年5位のMicron Technologyはトップ10外に。一方急成長のNVIDIAが初のトップ5入りを果たした。
米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月16日(米国時間)、2023年の世界半導体売上高(速報値)が前年比11.1%減の5330億米ドルとなったと発表した。ベンダー別で見ると、Intelが3年ぶりにSamsung Electronics(以下、Samsung)を上回り、売上高トップとなった。
Gartnerによると2023年、メモリ市場の売上高は前年比37%減と、半導体市場の全セグメントの中で最大の下げ幅を記録した。GartnerのVP(バイスプレジデント)アナリストであるAlan Priestley氏は、「2023年も半導体業界の景気循環が見られた一方、メモリ売り上げが史上最悪の落ち込みを記録し、市場は苦難の年となった」と述べている。
メモリの売上高を製品別に見ると、DRAMが前年比同38.5%減の484億米ドル、NAND型フラッシュメモリが同37.5%減の362億米ドルとなっている。
こうした中、2023年、半導体ベンダー上位25社のうち売上高を伸ばしたのは9社のみとなり、二桁の減少を記録した企業も10社あったという。また、半導体ベンダー上位25社の半導体売り上げの合計は2023年、前年比で14.1%減に。これは市場全体の74.4%を占める金額だが、2022年の77.2%からは減少した形になった。
メモリ不況の影響によって、半導体ベンダーのトップ10にも大きな変動があった。2021年にIntelから首位の座を奪い2年連続でトップを維持していたメモリ大手のSamsungは、前年比37.5%減の399億500万米ドルと大幅な減収を記録。Intelも同16.7%減とマイナス成長だったものの、売上高は486億6400万米ドルとSamsungを上回り、市場トップに返り咲くことになった。なお、3位は前年同様、Qualcommで、同16.6%減の290億1500万米ドルだ。
メモリ大手で前年4位だったSK hynixも前年比32.1%減と大きく減少し、順位を6位にまで下げた。さらに、同じくメモリ大手で前年5位だったMicron Technologyは同40.3%の大幅減となり、一気に12位にまで順位を下げて、トップ10から姿を消した。
2023年 順位 |
2022年 順位 |
企業名 | 2023年 売上高 |
2023年 市場シェア |
2022年 売上高 |
成長率 (2022年比) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | Intel | 48,664 | 9.1% | 58,436 | ▼16.7% |
2 | 1 | Samsung Electronics | 39,905 | 7.5% | 63,823 | ▼37.5% |
3 | 3 | Qualcomm | 29,015 | 5.4% | 34,780 | ▼16.6% |
4 | 6 | Broadcom | 25,585 | 4.8% | 23,868 | 7.2% |
5 | 12 | NVIDIA | 23,983 | 4.5% | 15,331 | 56.4% |
6 | 4 | SK hynix | 22,756 | 4.3% | 33,505 | ▼32.1% |
7 | 7 | AMD | 22,305 | 4.2% | 23,620 | ▼5.6% |
8 | 11 | STMicroelectronics | 17,057 | 3.2% | 15,842 | 7.7% |
9 | 9 | Apple | 17,050 | 3.2% | 18,099 | ▼5.8% |
10 | 8 | Texas Instruments | 16,537 | 3.1% | 18,844 | ▼12.2% |
― | ― | その他 | 268,853 | 50.7% | 294,729 | ▼8.8% |
合計 | 533,025 | 100% | 599,562 | ▼11.1% | ||
出所:Gartner(2024年1月) |
Gartnerによると、メモリを除いた半導体市場は、売上高が前年比3%減にとどまったという。また、AI(人工知能)アプリケーション向け需要の高まりがあった他、EV(電気自動車)などの自動車分野および、防衛/航空宇宙産業分野も堅調に推移。生成AI向け需要の急拡大で好調のNVIDIAは、前年比56.4%増と急成長を遂げていて、前年の12位から5位へと大きく順位を上げ、初のトップ5入りを果たした。また、Broadcomも同7.2%増となり前年の6位から4位へと順位を上げた。STMicroelectronicsは、自動車分野の好調から前年比7.7%増となり、前年の11位から8位にまで順位を上げている。
このほかトップ10の変動を見ると、Texas Instrumentsが前年比12.2%減となり前年の8位から10位にまで順位を下げた他、前年10位だったMediaTekも同26.2%減と大きく減少し、トップ10外(13位)となった。AMDとAppleは、それぞれ前年比5.6%減、5.8%減とマイナス成長となったものの順位は7位、9位を維持している。
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