NHancedは、インディアナ州ブルーミントン(Bloomington)の工場に1億7200万米ドルを投じ、現在米国ノースカロライナ州ローリー郊外の研究学園都市Research Triangle Parkにある小規模工場で行っている生産を拡充する予定だ。3年以内にはインディアナ州で3つの工場を稼働させる見込みで、そのうち2つは同州南部にあるクレーン海軍基地の近くに位置するという。
Patti氏は、「海軍は当社の大口顧客であり、幅広く提携しているため、海軍の近くに拠点を置くことにメリットがあった」と述べる。
同氏は、商用顧客に関しては明言を避けた。
「ある年には、約70社の顧客にサービスを提供し、100件を超えるプログラムを実施している。これはかなりの数ではないだろうか。また数社向けに、イオントラップや量子デバイスを提供している。必要とされる量子ビット密度を実現するには、先進パッケージングを使用しなければならない」(Patti氏)
Patti氏によると、GaAs(ガリウムヒ素)やリン化インジウム(InP)などの希少材料で製造したダイを組み合わせる予定だという。「当社が大量に使用しているニオブ酸リチウムを、シリコンや他の新しい材料と組み合わることになる。熱膨張係数が大きく異なるこれらの材料を組み合わせるため、われわれの仕事には数々のノウハウがある」(同氏)
NHancedは2024年1月に、インディアナ州の「WestGate」先進パッケージ組み立てセンターのテープカットを行った。この新しい施設には、組み立てやテスト、プロセス開発のためのクリーンルームが2つあるという。
この施設は、米国で初めて先進パッケージ製造向けに建設された、複数企業から成る複合施設(コンプレックス)「WestGate One」の一部となる。NHancedは他の3社の半導体メーカーと共に、中核的な存在になるとみられる。
NHancedは、プロジェクトに参加する他の企業については明かさなかったが、Patti氏は、「約3億米ドル規模の投資価値がある」と予測する。
Patti氏は、「インディアナ州での事業規模は、現在のノースカロライナ州の40倍に達する見込みだ」と述べる。「われわれは2024年末までに、ノースカロライナ州で現在少量生産しているシリコンインターポーザーとガラスインタポーザーを製造する予定だ。インターポーザーウエハーの生産量は、1年間当たり20枚だったが、1カ月当たり最大30〜40枚に増加するだろう。顧客ニーズに対応するためには、この生産量をインディアナ工場に移行できるようにすることが重要だ。ウエハーボンディングを立ち上げ、その直後に「ダイツーウエハー(D2W)」の組み立てを確立していきたい」(Patti氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.