矢野経済研究所は、「日米欧中におけるEV(電気自動車)の消費者ニーズ」についてアンケート調査を行い、その結果をまとめた。この中から、「EVのイメージ」や「消費者が求めるEVの航続距離と充電時間」に関する調査結果を公表した。
矢野経済研究所は2024年2月、「日米欧中におけるEVの消費者ニーズ」についてアンケート調査を行い、その結果をまとめた。この中から、「EVのイメージ」や「消費者が求めるEVの航続距離と充電時間」に関する調査結果を公表した。
今回のアンケート調査は、日本や米国、ドイツ、中国に居住する人で、自動車運転免許証を所有し、かつ世帯で自動車を保有する20〜60歳代以上の男女2000人(1カ国当たり500人)を対象に実施した。調査期間は2023年9〜12月。
EVのイメージに関するアンケートでは、「航続距離」や「充電時間」「メンテナンス」「デザイン」など9つの設問を設けた。回答として、「よく当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「やや当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5段階で回答を得た。集計の結果、「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答された合計比率が80%以上の項目は「◎」、50%以上の項目は「〇」、50%未満の項目は「△」とした。
4カ国合計で「◎」となった設問は「何キロ走れるかが気になる」「充電時間が気になる」「バッテリーの劣化が気になる」の3項目であった。「何キロ走れるかが気になる」では、4カ国合計で「よく当てはまる」が55.3%、「やや当てはまる」が29.8%となった。「充電時間が気になる」では、4カ国ともに「よく当てはまる」や「やや当てはまる」と回答した合計が80%以上となった。「バッテリーの劣化が気になる」では、4カ国合計で「よく当てはまる」が46.2%、「やや当てはまる」が33.9%となった。
なお、中国はこれ以外の設問でも、「電気代がガソリン代と比較して安そう」「環境に良さそう」「デザインが良さそう」といった項目で、「よく当てはまる」や「やや当てはまる」の回答率が高かった。
これとは別に、消費者が求めるEVの「航続距離」(1回の充電で走行可能な距離)や「充電時間」(外出先での充電を想定)についても質問した。航続距離は4カ国合計で「301〜500km」が最も多く29.3%を占めた。これに続くのが、「201〜300km」の23.2%、「501km以上」の22.9%となった。
航続距離に対する国別の回答率だと、中国では65.4%の人が「301km以上」と答えた。このうち45.6%が「301〜500km」と回答した。米国やドイツでも、「301〜500km」が最多の回答率となった。これに対し日本では、「200km以下」の回答数が多かった。これはEVを街乗りやセカンドカーと想定しているからだという。
充電時間については、4カ国合計だと「16〜30分」が32.2%で、最も多かった。これに続くのが「31〜60分」(24.5%)、「11〜15分」(19.0%)である。国別の回答率では、日本だけ「10分以内」という回答が30%を超えた。他国に比べ、急速充電に対するニーズが極めて高いことを示す結果である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.