Manocha氏はPFASについて、「半導体業界は総じて責任感が強い業界だ。PFASは多くの工程で使われているが、われわれがそれを環境中に排出することはない。もし規制当局がPFASの使用を禁止すると、パンデミックの時と同じように、半導体不足で世界が機能停止に陥るだろう」との懸念を示した。「半導体業界は、規制当局や大学などと協力し、人間や地球に害を与えないようにする必要がある。PFASは、われわれが直面している危機の一つだが、明るいニュースもある。世界中の政策立案者が半導体業界と協力し、社会に害を与えず、かつ半導体業界を存続させる方法を模索していることだ」(同氏)
Manocha氏は、「AIに関する最大の問題は、膨大なエネルギーを消費するという点である。この問題への対処が必要だ。半導体の低消費電力化と高速化を実現できる材料を開発しない限り、AIの新しい波にはうまく乗れないだろう。さらに量子に関しては、特に室温で量子コンピュータを動作させるという点が大きな課題となっている。放熱や省エネの問題を解決しなければ、AI/量子コンピューティングは低迷していくだろう。大きなチャンスが広がっているが、問題も非常に大きい」と述べる。
【修正:2024年3月25日10時15分 当初、「半導体の冷却と高速化を実現できる材料」と翻訳していましたが、「半導体の低消費電力化と高速化を実現できる材料」が、より適切な訳出と判断しました。お詫びして訂正致します。】
量子コンピューティングとその市場機会は、2050年までに5兆米ドル規模に拡大するともいわれている。Manocha氏は、「私が量子コンピューティングに感銘を受けたのは、例えば津波や地震のような事象をより明確化することができるからだ。量子コンピューティングが、あらゆる場所における問題の発生を予測できるようになれば、人々は自らの運命をもっとうまくコントロールできるようになる。量子コンピューティングは、人類に多くのメリットをもたらしてくれるだろう」と強調した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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