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TSMCの詳細判明、台湾地震による半導体工場の最新被害/稼働状況TrendForceが調査

台湾の市場調査会社TrendForceは2024年4月4日、前日に発生した台湾東部沖を震源とするマグニチュード7.2の地震による、半導体工場の最新の被害/稼働状況を発表した。

» 2024年04月05日 15時27分 公開
[永山準EE Times Japan]

 台湾の市場調査会社TrendForceは2024年4月4日、前日に発生した台湾東部沖を震源とするマグニチュード7.2の地震による、半導体工場の最新の被害/稼働状況を発表した。

 TrendForceによれば、TSMCやUMCなどのファウンドリーの多くは震度4の揺れに見舞われた地域に立地しているが、台湾の半導体工場は地震による影響を1〜2段階低減できる最高水準の対策を採用する建築基準で建てられていることから、地震発生後の検査のための一時停止後、おおむね迅速に操業を再開したという。また、緊急停止や地震によるウエハーの破損や損傷はあったものの、成熟プロセス工場の稼働率は平均50〜80%であるため、操業再開後は早期に損失を取り戻せ、生産能力への影響は軽微だったとしている。

TrendForceが初報時に公開した台湾のファウンドリーやDRAMメーカーの工場の分布やキャパシティーおよび、被害/稼働状況 TrendForceが初報時に公開した台湾のファウンドリーやDRAMメーカーの工場の分布やキャパシティーおよび、被害/稼働状況[クリックで拡大] 出所:TrendForce

Fab 12で配管が破損、2nmプロセスに「短期的」影響

 ファウンドリー企業をみると、TSMCは台湾新竹市の新竹サイエンスパークにある6インチ工場(Fab 2)および8インチ工場(Fab 3、Fab 5、Fab 8)、研究開発本部のあるFab 12、さらに2nmプロセスを導入する最新ファブであるFab 20が全て震度4の地域にあった。

 TrendForceによると、Fab 12のみ、配管の破損によって設備に若干の水害が発生し、主に量産前の2nmプロセスに影響があったが、操業への影響は短期的なものだという。なお、ここでは設備の入れ替えが必要になる可能性があり、設備投資額が若干増加する見込みとの見解を示している。その他の施設では点検後に操業を再開していて、大きな被害は報告されていないという。

 また、TSMCが高い稼働率を維持する台南市の3nm、4nm、5nmプロセス工場は従業員の避難もなく、地震後6〜8時間以内に90%以上の操業を再開していて、TrendForceは「影響は制御可能な範囲内にとどまった」と述べている。

 TSMCのパッケージング技術「CoWoS」(Chip on Wafer on Substrate)を導入する後工程工場については、桃園市龍潭区の「AP3」および新竹サイエンスパーク竹南科学園区の「AP6」において、検査でチラーユニットに若干の水損が見つかったものの、避難後すぐに操業を再開。バックアップ設備の存在もあり操業に影響はないという。

 この他、新竹市に6インチおよび8インチ工場を、台南市に12インチ工場を有するUMC、新竹市や苗栗県で12インチDRAM工場や8インチおよび12インチファウンドリーを運営するPSMC、そして新竹市に3工場、桃園市に1工場を有するVanguard International Semiconductorについても「点検と従業員の避難のための短期間の操業停止を経て、全ての工場が操業を再開している」としている。

MicronとNanyaの工場に影響も「数日以内に完全に復旧」見込み

 DRAMメーカーをみると、Nanyaの新北市の工場「Fab 3A」および、Micron Technology(以下、Micron)の桃園市の工場が影響を受けた。

 TrendForceによると、NanyaのFab 3Aは主に20nmおよび30nmプロセスに注力していて、最新世代となる「1Bnmプロセス」は現在開発中。Micronの桃園市および台中市の工場は内部的に1つのシステムに統合されていて、DRAM生産の重要な拠点として機能していて、同社の1β(ベータ)nmプロセス技術を導入しているという。いずれの工場も数日以内に完全に復旧する見込みで、HBMを含む今後の製品生産は台湾で継続される。また、その他施設は、検査後、順次操業を再開していて、PSMCとWinbondについては被害はなかったという。

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