2023年度の事業別セグメントの売上高は、コンデンサーとインダクター/EMIフィルターが増加し、その他のセグメントは減少した。
具体的には、コンデンサーとインダクター/EMIフィルターは主にモビリティ/スマホ向けで増加しそれぞれ前年度比2.0%増、同2.8%増の成長を見せた。高周波/通信は、高周波モジュール/表面波フィルター/樹脂多層基板はスマホ向けで増加したものの、コネクティビティモジュールがスマホ/PC向けで減少した結果、同3.0%減で着地した。
この他、エナジー/パワーは、リチウムイオン二次電池の売上高がパワーツール向けで減少し同23.4%減。機能デバイスはセンサー、タイミングデバイスがコンピュータやスマホ向けで減少し同2.2%減となった。
用途別でみると、通信用途、モビリティ用途は前年度比で増加し、コンピュータ用途や家電用途、産業/その他用途では減少した。
具体的には、通信用途はスマホ向けの高周波モジュール/コンデンサー/表面波フィルターが増加し前年度比2.6%増、モビリティ用途は、自動車の生産台数増加や電動化/電装化の加速でコンデンサーやインダクター、センサーが増加し同10.9%増と、それぞれプラス成長した。
一方、コンピュータ用途はPC向けコネクティビティモジュールが減少し同9.6%減、家電用途はパワーツール向けリチウムイオン二次電池とAV機器向けコンデンサーが減少し同25.0%減、産業/その他用途は産業機器や代理店向けでコンデンサーが減少し同16.5%減となった。
村田製作所は2023年度、リチウムイオン二次電池の不調から495億円の減損損失を計上した。事業の継続を前提とした処理だという。
村田製作所は、自社技術との親和性の高さや市場の成長性を見込んで2017年にソニーからリチウムイオン二次電池事業を買収し、ラミネート型電池と円筒型電池を展開してきた。しかし中国メーカーを中心にコスト競争が激しくなり、2019年にラミネート型電池の事業を縮小した。その後、円筒型電池はパワーツール市場に注力し、コロナ禍での急激な需要増を受けて生産能力を増強したが、反動の需要減が大きく、在庫調整が長期化した。これを受けて事業計画を見直し、減損損失を計上したという。
今後はパワーツール市場でのシェア拡大や、ESS(電力貯蔵システム)市場でのビジネスモデルの構築を目指すとしている。リチウムイオン二次電池事業は「2025年度に黒字化する」との目標を掲げていて、この目標に変化はなく、村田製作所 社長の中島規巨氏は「必達目標として取り組みを進めている」とした。
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