東北大学が研究者/特許情報を公開――「サイエンスパーク構想」の狙いとは : 産学連携の促進に向け (3/3 ページ)
東北大学は2004年にはサイエンスパーク構想を打ち出し、実現に向けた検討を進めてきた。2023年には同キャンパス内に、2011年に発生した「東日本大震災(3.11)」からの復興の象徴として計画していたナノテラスが完成した。同施設は、2024年4月9日から本格稼働を開始していて、利用企業からの満足度も高いという。
また、東北大学は2023年9月、国際的に卓越した研究の展開および経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が見込まれる大学を認定し、大学ファンドによる助成を行う「国際卓越研究大学(2023年度)」の認定候補に選定された。2024年3月に退任した前総長の大野英男氏が先導したものだ。正式認定された場合は、10兆円規模の大学ファンドの運営益から、年間で数百億円が最長25年間助成される予定だ。
東北大学 産学連携部長を務め、サイエンスパーク構想のメイン担当でもある菊田克也氏は「2023年のナノテラスの完成や、国際卓越研究大学の認定候補への選定によるサイエンスパーク構想の実現を早めたことは間違いない」と述べた上で、2024年4月に総長が大野氏から冨永氏に交代したことについて触れ「大野氏の意思は、しっかりと冨永氏に引き継がれている。冨永氏は、大野氏が総長だった時代からサイエンスパーク構想の担当理事を務めているため、サイエンスパーク構想について十分な理解を持っている。総長の交代による方針の変更はない」と語った。
「超省電力」実現の鍵、スピントロニクス半導体の最前線を聞く
東北大学では、スピントロニクス半導体の研究が活発に行われている。ロジックLSIの消費電力を100分の1以下に削減できるスピントロニクス半導体は、さまざまなシステムの低消費電力化に大きく貢献すると期待されている。同大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES) センター長 兼 スピントロニクス学術連携研究教育センター 部門長の遠藤哲郎教授に、スピントロニクス半導体の特長や活用について聞いた。
「半導体業界で世界のハブになる」東北大総長 大野英男氏
東北大学は2023年9月、「国際卓越研究大学」の認定候補に選定された。今回、東北大学の総長を務め、スピントロニクス半導体研究の第一人者でもある大野英男氏に、21世紀の研究大学のあるべき姿や、半導体業界発展のために必要な取り組みについて聞いた。
東日本大震災からの復興の象徴に――次世代放射光施設「ナノテラス」にかける思い
世界最高レベルの高輝度放射光施設として注目を集める「NanoTerasu(ナノテラス)」。2024年4月の本格稼働を前に、ナノテラス実現の立役者である東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センター 高田昌樹教授に、ナノテラスの概要や誕生の背景を聞いた。
天野浩氏が語ったGaNパワーデバイスの展望 「エネルギー効率99%以上を目指す」
Si(シリコン)に代わる新しい材料として、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのWBG(ワイドバンドギャップ)半導体が注目を集めている。名古屋大学教授でノーベル物理学賞受賞者である天野浩氏の講演から、GaN基板/デバイスの研究開発の現状と将来展望を紹介する。
2030年代の勝負に挑む半導体人材の確保が急務、産学官の代表が連携強化を誓う
「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)では、「半導体テクノロジーシンポジウム ALL Japanによる半導体人材」と題した講演が行われ、産学官からそれぞれ数名が登壇し、半導体産業の発展に向けた連携および人材確保/育成の重要性を語った。
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