TechInsightsのバイスチェアマンを務めるDan Hutcheson氏によると、ライバルである両社の戦いは、まだ初期の段階にあるという。
同氏はEE Timesの取材に応じ、「TSMCの新しいA16プロセスは、同社に追い付こうとしている他の全ての企業に対して条件を変えることになる。リーダーシップはTSMCが獲得するだろう」と述べている。
Patel氏によると、TSMCは、トップの座を維持することが可能な確固たる位置付けにあるという。
同氏はEE Timesの取材に対し、「TSMCのA16プロセスの裏面電源供給技術は、Intelの『Power Via』に代わる裏面コンタクトを採用した、より先進的なもので、Intelの18Aを大きくリードしているとみられる。これにより、さらなる高密度化と高効率化が可能になる。IntelとTSMCは、互いを追い抜き合う苛烈な競争を繰り広げている」と述べている。
TIRIAS Researchの主席アナリストであるKevin Krewell氏は、「両社はA16や18Aといった紛らわしい名前を付けて、“言葉の応酬”をしているようにも見える」と述べる。
「TSMCがこのノードをA16と名付けたのは、実寸法の優位性というよりも、Intelの18Aノードに対するマーケティング上の当て付けではないだろうか。TSMCの多くの顧客は迅速にA16を導入するだろう。TSMCは、HPCやAIアプリケーションによる導入が急激に進むと期待している」(Krewell氏)
一方でKrewell氏は、「技術リーダーシップの獲得をめぐる戦いで誰が勝利するのかという点については、まだ始まったばかりだ」と付け加えた。
「TSMCは、ダイレクトゲートコンタクトによる裏面電源供給の手法で技術優位性を確立したと主張している。M0メタルレイヤーまでTSV(シリコン貫通ビア)を通ってからゲートに接続するのではないという。同社は、実際のトランジスタ断面ではなく、大まかなグラフィック表示だけを披露した」(Krewell氏)
TSMCはA16の発表の中で、過去の伝統と決別し、AI最大手のNVIDIAやTeslaなど、一部の大手顧客の名を明かした。TSMCは、世界で初めてTesla向けにSoW(System on Wafer)を製造するという。Teslaは、同社の最新のデータセンターでこのシリコンを使用する予定だ。
数年前にファウンドリービジネスに参入したIntelは、その顧客企業に関しては沈黙を守っている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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