京都大学は、0.1Vで動作し消費電力が0.9pWの「デジタル変換半導体集積回路」を開発、22nmCMOSプロセス技術を用いて半導体集積回路を試作し、その有効性を確認した。涙液に含まれる糖分からのエネルギーでも駆動でき、体内環境で動作するIoTシステムなどへの応用を目指す。
京都大学大学院情報学研究科の新津葵一教授や劉昆洋助教、張瑞琳特定助教、北池弘明修士課程学生、田川宏紀修士課程学生らによる研究グループは2024年6月、0.1Vで動作し消費電力が0.9pWの「デジタル変換半導体集積回路」を開発、22nmCMOSプロセス技術を用いて半導体集積回路を試作し、その有効性を確認したと発表した。涙液に含まれる糖分からのエネルギーでも駆動でき、体内環境で動作するIoT(モノのインターネット)システムなどへの応用を目指す。
研究グループは今回、発電とセンシングの機能を一体化したシステムにおいて、入力電源電圧の大きさによって、動作させる回路ブロックを自律的に最適化する半導体集積回路技術を開発した。
具体的には、「高」「中」「低」と、電源電圧のしきい値が異なる複数の信号駆動回路(バッファ)を搭載し、環境中で得られる電源電圧に応じて、動作する回路の数が変化することを活用してデジタル変換を行う。この技術を涙液糖発電素子と組み合わせれば、血糖値のモニタリングなどに応用できるという。
研究成果を実証するため、22nmの超低リーク電流CMOSプロセス技術を用いて、デジタル変換半導体集積回路を試作した。トランジスタのサイズや縦積み段数を変えることで、電源電圧のしきい値が異なる複数のバッファを実現した。試作した回路は、消費電力が0.9pWで電源電圧0.1Vを達成した。従来技術に比べ、消費電力は約27分の1となり、電源電圧は44%も低減できたという。
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