ファイバー接続の課題については、ほとんどの登壇者たちが信頼性とスケーリングの両面から強調していた。しかしCazzaniga氏は、「AIの量産需要に対応するためには、フォトニクスパッケージングを“ハンドメイド”の状態から完全自動化プロセスへと進化させる必要がある」とコメントしている。
「そのためにはオートメーションへの投資を行い、一部をチップレットパッケージングと共有することで、生産時間を全体的に短縮し、最終的にコストを最小限に抑える必要がある」(Cazzaniga氏)
これに関してはほとんどの登壇者たちが、「AIがキラーアプリケーションになるためには、シリコンフォトニクスが、実用的な導入や、コスト効率、信頼性(または少なくとも予測可能な信頼性)、使いやすさ、スケーラビリティなどを実現しなければならない」と強調している。
聴衆側からは、EDAツールの課題に関して、「設計を最初に正しく予測することができない」という重要な点が指摘された。フォトニクス向けのSPICEのように、自社のパラメーターに組み込むことが可能なモジュレーター用の標準モデルを確保して設計がどうなるのかを最初に正しく予測するために、あらゆるツールで対応可能な標準的なモデリングパッケージが用意されているものがないのだ。
そして、デバイスが何を実行しようとしているのかを予測するために、モデルに変動性を取り入れる必要がある。最終的には、全ての設計要素を確実に連携できるよう、コンポーネントだけでなく環境もデジタルツインを構築する必要があるだろう。
では、何が幅広い普及の引き金となるのだろうか。登壇者たちのほとんどが、「鍵となるのは、シリコンフォトニクスの集積度だ」という見解で一致していた。また、パッケージングのさらなる標準化や、エレクトロニクス向けと同様にオプティクス向けのエコシステムも発展していくことなどが望ましいという。さらに、消費電力量に関する取り組みも重要だ。
そして、「大手メーカーや大手顧客企業の決断が、AI用シリコンフォトニクスの重要な推進力になる」と結論付けられた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.