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「Apple依存」で得た教訓 ImaginationがRISC-Vに活路顧客も製品も多様化(2/2 ページ)

» 2024年07月05日 15時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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「APXM-6200」でRISC-V移行の障壁を取り除く

 APXM 6200は、Imaginationが2021年に発表したRISC-V CPU IPシリーズ「Catapult」の新製品となる。APXM-6200の特長は、単位面積当たりの性能を向上させた*)ことだ。キャッシュメモリを備えたシングルコアおよび、同じ製造プロセスノードで比較した場合、APXM-6200はArmのプロセッサコア「Cortex-A53」に比べて25%、「Cortex-A55」比では40%、それぞれ小さくなるという。システム性能評価のベンチマークであるSPECintでは、Armプロセッサよりも高いスコアを獲得したとする。「最も普及しているCortex-A53と比べても、単位面積当たりの性能は2.5倍を実現した。ArmプロセッサからAPXM-6200に切り替えることで、コストメリットをすぐに得られる」(Darashri氏)

*)「APXM」の「XM」は、Imaginationの製品群において「単位面積当たりの性能」を追求する品種であることを示している。

「APXM-6200」は、Armコアよりも小型化を実現できるとするArmコアと比べた時の単位面積当たりの性能 左=「APXM-6200」は、Armコアよりも小型化を実現できるとする/右=Armコアと比べた時の単位面積当たりの性能[クリックで拡大] 出所:Imagination Technologies

 APXM-6200とImaginationのGPUコアを組み合わせることで、さらに効率のよい統合システム(CPU+GPU)を開発できるとDarashri氏は述べる。「われわれのGPUコアは、RISC-Vに準拠している。GPUのドライバー/ソフトウェアはRISC-V向けにポーティングが可能で、APXM-6200と組み合わせて使うために最適化されている。これにより、バスの利用効率が高く、メモリトラフィックが少ない統合システムを実現できる」(同氏)

 Armコアから移行しやすいよう、ポーティングガイドを含め各種ソフトウェアも提供する。ImaginationのSDK(ソフトウェア開発キット)である「Catapult SDK」の他、MicrosoftのIDE(統合開発環境)「Visual Studio Code」向けの拡張機能「Catapult Studio extension」も提供している。Visual Studio Codeのユーザーはこの拡張機能を通常の開発環境にインストールできる。Catapult Studio extensionには、オープンソースのプロセッサエミュレータであるQEMU(Quick Emulator)やCatapultソフトウェアモデルが含まれているので、ハードの設計を待たずにRISC-Vソフトウェアを構築、実行できる。

 ユーザーの懸念点として挙げていたセキュリティについても、OP-TEE(Open Portable Trusted Execution Environment)に対応することで、Arm「TrustZone」と同様の隔離実行環境を実現しやすいようにしているという。ProvenRunなどセキュリティソリューションベンダーが提供するTEEも使うことができるので、セキュリティ認証も容易に取得できるとする。

Armコアからの移行が容易になるソフトウェアもそろえているセキュリティではOP-TEEなどに対応する 左=Armコアからの移行が容易になるソフトウェアもそろえている/右=セキュリティではOP-TEEなどに対応する[クリックで拡大] 出所:Imagination Technologies

 APXM-6200は、TVやSTB(セットトップボックス)、ロボティクス、ウェアラブル機器、マシンビジョンなど幅広いユースケースを想定している。

 Imaginationは、Catapultファミリーの第1弾として、リアルタイム制御用のCPUコア「RTXM-2200」を2022年に発表した。今回第2弾としてAPXM-6200を発表。第3弾として、より高性能なアプリケーション向けのCPUコアも発表する予定だ。Darashri氏は、「ArmからRISC-Vへの移行は、x86からArmへの移行よりも恐らく速く進むだろう。数年後にはモバイル分野にも入っていくだろう」と語った。

Catapultのロードマップ Catapultのロードマップ。それぞれにオートモーティブグレード版も用意する[クリックで拡大] 出所:Imagination Technologies
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