APXM 6200は、Imaginationが2021年に発表したRISC-V CPU IPシリーズ「Catapult」の新製品となる。APXM-6200の特長は、単位面積当たりの性能を向上させた*)ことだ。キャッシュメモリを備えたシングルコアおよび、同じ製造プロセスノードで比較した場合、APXM-6200はArmのプロセッサコア「Cortex-A53」に比べて25%、「Cortex-A55」比では40%、それぞれ小さくなるという。システム性能評価のベンチマークであるSPECintでは、Armプロセッサよりも高いスコアを獲得したとする。「最も普及しているCortex-A53と比べても、単位面積当たりの性能は2.5倍を実現した。ArmプロセッサからAPXM-6200に切り替えることで、コストメリットをすぐに得られる」(Darashri氏)
*)「APXM」の「XM」は、Imaginationの製品群において「単位面積当たりの性能」を追求する品種であることを示している。
APXM-6200とImaginationのGPUコアを組み合わせることで、さらに効率のよい統合システム(CPU+GPU)を開発できるとDarashri氏は述べる。「われわれのGPUコアは、RISC-Vに準拠している。GPUのドライバー/ソフトウェアはRISC-V向けにポーティングが可能で、APXM-6200と組み合わせて使うために最適化されている。これにより、バスの利用効率が高く、メモリトラフィックが少ない統合システムを実現できる」(同氏)
Armコアから移行しやすいよう、ポーティングガイドを含め各種ソフトウェアも提供する。ImaginationのSDK(ソフトウェア開発キット)である「Catapult SDK」の他、MicrosoftのIDE(統合開発環境)「Visual Studio Code」向けの拡張機能「Catapult Studio extension」も提供している。Visual Studio Codeのユーザーはこの拡張機能を通常の開発環境にインストールできる。Catapult Studio extensionには、オープンソースのプロセッサエミュレータであるQEMU(Quick Emulator)やCatapultソフトウェアモデルが含まれているので、ハードの設計を待たずにRISC-Vソフトウェアを構築、実行できる。
ユーザーの懸念点として挙げていたセキュリティについても、OP-TEE(Open Portable Trusted Execution Environment)に対応することで、Arm「TrustZone」と同様の隔離実行環境を実現しやすいようにしているという。ProvenRunなどセキュリティソリューションベンダーが提供するTEEも使うことができるので、セキュリティ認証も容易に取得できるとする。
APXM-6200は、TVやSTB(セットトップボックス)、ロボティクス、ウェアラブル機器、マシンビジョンなど幅広いユースケースを想定している。
Imaginationは、Catapultファミリーの第1弾として、リアルタイム制御用のCPUコア「RTXM-2200」を2022年に発表した。今回第2弾としてAPXM-6200を発表。第3弾として、より高性能なアプリケーション向けのCPUコアも発表する予定だ。Darashri氏は、「ArmからRISC-Vへの移行は、x86からArmへの移行よりも恐らく速く進むだろう。数年後にはモバイル分野にも入っていくだろう」と語った。
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