EDA大手のSynopsysが、エンジニアリングシミュレーションソフトウェアなどを手掛けるAnsysをおよそ350億米ドルで買収する。2024年1月16日(米国時間)、両社が発表した。Ansys株主の承認や規制当局の承認などを経て、2025年上半期に完了する予定だ。
EDA大手のSynopsysが、エンジニアリングシミュレーションソフトウェアなどを手掛けるAnsysをおよそ350億米ドルで買収することで最終合意した。2024年1月16日(米国時間)、両社が発表した。Synopsysは、現金と株式交換によってAnsys株式を1株390.19米ドルで買収する。Ansys株主の承認や規制当局の承認などを経て、2025年上半期に完了する予定だ。
両社は「Synopsysの先駆的なEDAと、Ansysの広範なシミュレーション/解析ポートフォリオを統合することで、シリコンからシステムまでの設計ソリューションのリーダー企業が誕生することになる」と述べている。
この買収計画については2023年12月末以降、観測報道が相次ぎ、その動向に注目が集まっていた。
買収によって、Ansysの株主は、Ansys株式1株につき現金197米ドルとSynopsysの株式0.3450株を受け取ることになる。これを2023年12月21日(メディアの予測記事が出る前の最終取引日)のSynopsys株の終値(559.96米ドル)に基づいて計算すると、買収規模は約350億米ドル相当となる。
両社は、今回の買収理由や期待される価値創造などについて説明。近年の複雑なインテリジェントシステムには、半導体設計とシミュレーションおよび解析を統合し、相互接続されたシステムが実環境で適切に機能することが求められているといい、「SynopsysのEDAテクノロジーと、Ansysの広範なシミュレーション/解析ポートフォリオを組み合わせることで、包括的で強力なシステム重視のイノベーションアプローチを提供可能となる」と述べている。
また、両社は補完性の高い事業と成長機会を有しているといい、「SynopsysのSilicon to Systems戦略は、中核となるEDA分野だけでなく、Ansysが確立した事業基盤や市場開拓の実績を持つ自動車、航空宇宙、産業などの隣接成長分野においても強化される」と説明している。
両社によると、買収によってSynopsysのTAM(Total Addressable Market)は現在の1.5倍となる約280億米ドルに拡大する見込みだ。また、このTAMは、年平均成長率11%で成長することが期待されているという。
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