Nayampally氏は、「チップレットは最終的に、システムのニーズに応じて高度にカスタマイズされるが、特にAIの時代における当社の目標は、アーキテクチャの観点から実装に至るまでのチップレットのワークフローをサポートするモジュール式のツールセットを提供することだ。EDAベンダーはその一部を備えているが、多くはまだ用意されていない」と述べている。
Bayaのプラットフォームはモジュール式であるため、顧客がチップレットアーキテクチャの構築に同プラットフォームを使用すればするほど、要素を再利用して設計と展開をスピードアップできるという。
同氏は、「このプラットフォームは将来性があり、マルチチップレットやパッケージに対応しているが、ほとんどの顧客はまだそこに到達していない」と付け加えた。
チップレットは新しい概念ではないが、ここ数年、半導体メーカーが「ムーアの法則」の物理的限界に対抗するためにチップレットに注目しており、解決すべき新たな課題が生まれている。
米国の半導体市場調査会社であるObjective Analysisの主席アナリストを務めるJim Handy氏によると、チップレットの概念は、1980年代のマルチチップモジュール(MCM)にさかのぼるが、他の構成ではさらに以前から存在していたという。Xilinxは、約6年前にチップレットを製造環境に導入している。同氏はEE Timesに対し、「このアイデアは大きな反響を呼び、主要プロセッサメーカーはサーバプロセッサの有効ダイサイズを拡張するためにこのアプローチを採用している。こうした取り組みにより、歩留まりと製造可能性が向上してコストが削減され、同アプローチをますます幅広い用途に使用できるようになると予想される」と述べている。
チップレット展開の簡易化を目指しているスタートアップはBayaだけではない。米スタートアップEliyanの高性能チップレット相互接続は、標準的な有機基板上で同種および異種アーキテクチャを接続するコスト効率の高い方法に対する重要なニーズに対応している。同社の「Bunch of Wires(BoW)」チップレットシステムは、高度なパッケージング技術を使用したダイツーダイの実装と同等の帯域幅と電力効率、レイテンシを実現できる。
過去5年間のチップレットの普及によって、ベストプラクティスの需要が高まり、正式な規格の開発につながった。「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe) 1.0」仕様は、2022 年春にリリースされた。同仕様は、ダイツーダイI/O物理層、ダイツーダイプロトコル、業界標準規格である「PCI Express(PCIe)」および「Compute Express Link(CXL)」を活用したソフトウェアスタックモデルをカバーしている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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