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熱いスマホを冷やす アクティブ冷却用半導体チップAI搭載で発熱量は増す一方(1/2 ページ)

米xMEMSが開発した冷却用半導体チップにより、スマートフォンなどの小型、薄型デバイスでアクティブ冷却機能を実現できるかもしれない。同社は、MEMSスピーカー向けで培った技術を活用して、冷却用半導体チップを開発した。

» 2024年10月07日 15時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

厚みはわずか1mm xMEMSの冷却チップ

 AI(人工知能)は電力を大量に消費するため、データセンターでのより効率的な冷却の必要性が増している。それと同様に、スマートフォンでも熱問題が生じている。ただし、フォームファクターが小型であるスマホには、独自の課題がある。

 米国のxMEMSは、要求の厳しいアプリケーションやAIワークロードの実行が増えている超小型デバイスの冷却向けに「ファンオンチップ(fan on a chip)」と呼ぶ冷却チップを発表した。

 オールシリコンのマイクロスピーカーの技術を活用した、同社の「XMC-2400 μCooling」チップは、チップレベルでファンベースのアクティブなマイクロ冷却(μCooling)を提供する、ウルトラモバイルデバイス向けのアクティブマイクロ冷却ファンである。

 わずか1mmの薄さで、静音、無振動のソリッドステートXMC-2400 μCoolingチップは、スマホやタブレット、その他の高度なモバイルデバイスに組み込むことができる。

 xMEMSのマーケティングおよび事業開発担当バイスプレジデントを務めるMike Housholder氏は米国EE Timesとのブリーフィングで、「1つのチップで、1秒間に最大39cm3の空気を1000Pa(パスカル)の背圧で移動させることができる」と語った。

AI用CPU/GPUなどの半導体は発熱量が大きい AI用CPU/GPUなどの半導体は発熱量が大きい 出所:xMEMS

 Housholder氏は、「スマホは、xMEMSの超薄型冷却ソリューションの恩恵を受けられる広範な薄型エッジデバイスの一例にすぎない。通常、デバイスの厚さは約5mmで、従来の最小ファンの厚さは約3mmなので、現時点では、スマホやタブレット、超薄型PCなどの薄型の電子機器に実装できるアクティブ冷却ソリューションはない」と続ける。

 「その代わりに、ヒートスプレッダーとベイパーチャンバーで全てを受動的に冷却している。これらはデバイスの筐体全体に熱を拡散しているだけで、デバイスから熱を排出する物理的な手段はない」(同氏)

 同氏は、「熱の拡散が筐体全体で最大化すると、処理を抑制する以外にできることはない。その結果、画面の輝度を落とすような機能によってアプリやサービスが抑制され、アプリケーションの性能が低下する」と説明している。

AI機能搭載で、さらに“熱くなる”スマホ

 「AppleやSamsung Electronicsなどの大手企業がAI機能をスマホにさらに追加していることから、スマホのより良い冷却方法の必要性が求められている。PC分野では、Microsoftがコンピュテーショナルフォトグラフィやリアルタイム音声アシスタントなどの機能を発表している。これらの機能はネットワーク接続が必要なので、問題が特に複雑化している。プロセッサコアやメモリ、消費電力が増えれば、当然発熱も増える」とHousholder氏は付け加えた。

 Housholder氏は、「XMC-2400 μCoolingチップは、スマホを明確なターゲットに定めている。われわれはまず、ファンを搭載したくてもできなかった薄型デバイスにアクティブ冷却を提供することに注力していく」と語る。

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