サステナビリティ戦略は半導体メーカーにとっても重要になっている。onsemiでシニアバイスプレジデント兼CMO(Chief Marketing Officer)を務めるFelicity Carson氏は、「顧客は半導体サプライヤーのサステナビリティ戦略を強く意識している。プロダクトカーボンフットプリントなどの情報提供を求める声も強くなっている」と語る。
世界的なトレンドとなっているカーボンニュートラル。半導体業界もそれに追従し、各社がカーボンニュートラルやサステナビリティに向けた戦略を定めている。onsemiは2024年8月27日、都内でプライベートイベントを開催。それに合わせて、onsemi シニアバイスプレジデント兼CMO(Chief Marketing Officer)のFelicity Carson氏が、同社のサステナビリティ戦略について語った。
――直近の業績について教えてください。
Felicity Carson氏 2023年度(2023年12月期)の業績は売上高が82億5300万米ドル、営業利益率は30.8%、売上総利益率47.1%だった。直近の2024年第2四半期(4〜6月期)は、売上高が17億3500万米ドル、売上総利益率は45.2%だった。売上高比率は、自動車が52%と半分以上を占め、インダストリアルが27%、その他が21%となっている。地域別では、アジア(日本を除く)が51%と最大の比率になっている。
――onsemiの事業戦略をあらためてお聞かせください。
Carson氏 パワーとセンシングを2本柱とし、産業機器と自動車分野に注力していく。パワー関連の事業では、SiCパワーデバイス、IGBTなどのSiパワーデバイス、電源ICという3つをコア技術として製品群を拡大している。SiCについては、ブールからウエハー、ダイ、パッケージまで一気通貫で手掛けていることが、当社の最大の特徴だ。
――サステナビリティについてはどのような取り組みをしていますか。
Carson氏 onsemiはサステナビリティを非常に重要視している。製造業は膨大なエネルギーを消費する産業だ。昨今は、AI(人工知能)の普及によりデータセンターで消費電力が急増していることも課題になっている。EV(電気自動車)の走行による消費電力は、2030年までに1150TWhに達するとの試算もある。半導体はサステナビリティを支える不可欠な技術であり、onsemiは、データセンターやEVを含め、さまざまな分野で省電力を実現できるパワーソリューションの開発と提供に力を入れている。
サステナビリティ関連の取り組みとしては、主要製品についてPCF(プロダクトカーボンフットプリント)データを提供していくなどが挙げられる。当社の製品が、顧客の製品あるいは最終製品においてどれだけサステナビリティに貢献できるかを示すことに注力している。
再生可能エネルギーの利用率を高めるための戦略も進めている。onsemiは2040年にネットゼロを達成するという目標を掲げており、その達成に向けてあらゆる手段を探り、試しているさなかだ。
2023年3月には、当社の社長兼CEO(最高経営責任者)であるHassane El-Khouryが、「SBTi(Science Based Target Initiative:科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)*)」の認定取得を目指し、コミットメントレターを提出した。これは、当社がサステナビリティ戦略を推し進めるという強力な意思表示でもある。
*)SBTiは、企業と金融機関が最新の気候科学に沿って野心的な排出削減目標を設定できるようにする国際的な団体。科学に基づく目標設定(SBT)のベストプラクティスを定義し、組織の目標を評価/認定している(出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ)
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