Analog Devices(ADI)が、組み込みFPGAおよびAI(人工知能)技術のIP(Intellectual Property)を手掛けるFlex Logixを買収した。取引条件などは明らかにしていない。
Analog Devices(ADI)が、組み込みFPGAおよびAI(人工知能)技術のIP(Intellectual Property)を手掛けるFlex Logixを買収した。創業10年のFlex Logixの技術資産と技術チームはADIに移管される。
ADIの広報担当は米国EE Timesに対し、「Flex Logixを買収することで、ADIはデジタルポートフォリオを大幅に強化し、顧客が抱える最も難しい課題の解決をサポートする取り組みをさらに強化できる」と語った。ただし、取引条件やそれ以上の詳細を明らかにはしなかった。
ADIのビジネスユニット担当エグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントのGregory Bryant氏はLinkedInの投稿で、「Flex Logixの優秀なチームをADIに迎えることができ、うれしく思う」と述べている。「(組み込みFPGA)技術のリーダー的存在であるこのチームは、インテリジェントエッジをリードする当社の取り組みに加わってくれる。FPGAファブリックをSoC(System on Chip)やASICにシームレスに統合できるFlex LogixのeFPGA技術は、ADIが差別化されたプラットフォームを構築し、顧客の課題を解決するための重要な構成要素の一つだ」(同氏)
Flex Logixはコメントを控えたが、同社のWeサイトには、同社の技術資産と技術チームは買収されていて、既存の顧客への対応も既に済んでいると書かれている。
Flex Logixのエンジニアで、同社に設立当初から在籍しているFang-Li Yuan氏は、LinkedInで次のように語っている。「10年前の最初の顧客が最後の顧客となった。その顧客が、当社のテクノロジーをさらに幅広く採用するためにわれわれを買収したのは、予想外だった」
Flex Logixは、CEO(最高経営責任者)のGeoff Tate氏、CTO(最高技術責任者)のCheng Wang氏、UCLA(米カリフォルニア大学ロサンゼルス校)教授のDejan Markovic氏によって、Wang氏が博士号取得のために行った研究を基に2014年に設立された。Rambusの元CEOであるTate氏は、同社の設立以来CEOを務めてきた。同社は、SoCの設計に柔軟性と将来性を加えるためのeFPGA IPで、2015年にステルス状態から脱した。
Flex Logixの顧客には、より高度なノードでeFPGAの柔軟性とプログラマビリティを必要としていた米DARPA(国防高等研究計画局)やその他の米国政府プログラムが含まれている。Dialog Semiconductor(2021年にルネサス エレクトロニクスが買収)は2019年、コンフィギュラブル電源管理IC用にFlex Logixの技術をライセンス供与した。ルネサスの安価な小型FPGAである「ForgeFPGA」も、Flex LogixのIPをベースにしている。
Flex Logixは2020年、自社のeFPGAを基にした再構成可能な相互接続ファブリックを用いたAIアクセラレーターチップ「InferX X1」を発売した。InferX X1の販売は2023年に終了したが、InferX X1のIPは、SoC設計におけるAIブロックまたはDSPブロック向けに引き続き利用可能だった。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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