「斜めからのイオン注入」で損失低減 三菱電機のxEV用SiC-MOSFET : サンプル出荷を開始
三菱電機は、電動車(xEV)の駆動モーター用インバーターに向けた標準仕様のパワー半導体チップ「SiC-MOSFET」を開発、サンプル出荷を始めた。xEVの航続距離を延伸でき、電費の改善につながるとみている。
三菱電機は2024年11月、電動車(xEV)の駆動モーター用インバーターに向けた標準仕様のパワー半導体チップ「SiC-MOSFET」を開発、サンプル出荷を始めた。xEVの航続距離を延伸でき、電費の改善につながるとみている。
開発したxEV用SiC-MOSFETは、オン抵抗を低減するため独自構造のトレンチ型を採用した。しかも、イオン注入を斜め方向から行うことで、垂直方向から行う従来方式に比べスイッチング損失を抑えることができた。
これらの工夫を行ったことで、従来のプレーナー型と比べ電力損失を約50%も低減した。この結果、インバーター性能を向上させることができ、xEVの電費改善などを可能とした。
製造プロセスにおいても、独自のゲート酸化膜製法などを適用することで、スイッチングオン/オフ動作の繰り返しによって発生する電力損失やオン抵抗などの変動を抑制した。これにより、長期間にわたる品質安定性や、インバーターの耐久性を確保できるという。
新製品として今回は、定格電圧が1200V、オン抵抗が9.0mΩの「WF0009Q-1200AA」と、同じく750Vで7.8mΩの「WF0008Q-0750AA」を用意した。サンプル価格は個別見積もり。
xEV用SiC-MOSFETを製造したウエハーと素子のイメージ[クリックで拡大] 出所:三菱電機
12畳を1台でモニタリング 検知面積が従来比2倍の赤外線センサー
三菱電機は、サーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR(メルダー)」の新製品として、100度×73度の広画角化によって既存製品の2倍以上広い検知面積を実現した「MIR8060C1」を発表した。一般的な天井高の家屋では、12畳の部屋の隅に設置して床面全体を検知できるほどの画角だ。
12インチウエハーを用いてSiパワー半導体チップを量産
三菱電機は、パワーデバイス製作所福山工場の12インチSiウエハー対応ラインで製造したパワー半導体チップの本格出荷を始めた。同社は「2025年度までにSiパワー半導体の前工程における生産能力を、2020年度に比べ約2倍とする」中期計画に取り組んでいる。
初の車載SiCモジュールで市場展開を加速、三菱電機
三菱電機は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」において、モールドタイプのxEV用インバーター用パワー半導体モジュール「J3」シリーズや、鉄道および直流送電などの大型産業機器向けのSBD内蔵SiC MOSFETモジュールなど、各分野向けに開発した新製品を紹介していた。
200Gbpsの受信用光デバイスを24年内量産へ、三菱電機
三菱電機は2024年8月20日、データセンター向け光トランシーバーに搭載する受信用光デバイスの新製品として、800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用の200Gビット/秒 pin-PD(Photo Diode)チップ「PD7CP47」を発表した。2024年内の量産開始を見込む。
Ka帯衛星通信に対応、GaN MMIC電力増幅器を開発
三菱電機は、Ka帯(26.5〜40GHz)対応の衛星通信(SATCOM)地球局用送信器に向けて「GaN MMIC電力増幅器」2製品を開発した。大容量通信への対応と、衛星通信地球局の小型化、低消費電化を視野に入れる。
三菱電機、インバーター試作機の設計情報を提供
三菱電機は、産業用LV100タイプIGBTモジュールを用いたインバーターシステムの開発を支援するための情報提供を、2024年6月28日より始める。システム設計に必要な情報やパワー半導体の検証データなどを、同社ウェブサイトなどで提供していく。
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