Thinkerは「CEATEC 2024」に出展し、近接覚センサー「TK-01シリーズ」を紹介した。ロボットハンドに搭載することで対象物との距離をリアルタイムで計測し、動きを微調整する。透明物や鏡面物、形状が一定でないもの、柔らかいものなど、従来は難しかった対象物のピックアップを可能にするという。
Thinkerは「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、近接覚センサー「TK-01シリーズ」を紹介した。ロボットハンドに搭載することで対象物との距離をリアルタイムで計測し、動きを微調整する。透明物や鏡面物、形状が一定でないもの、柔らかいものなど、従来は難しかった対象物のピックアップを可能にするという。
TK-01シリーズは、4つの赤外線モジュールとエッジAI(人工知能)基板を組み合わせたものだ。赤外線モジュールが対象物からの反射光量を測定すると、AIモデルがそこから距離と角度を推論する。
製造現場で使用されるピッキングロボットはカメラを搭載したものが多いが、対象物の材質によってカメラでは捉えづらくつかめない場合がある。また、作業のティーチングに熟練者の技術が必要で手間がかかることや、人材育成/確保のコストも課題となっていた。
TK-01はカメラを用いないので、ガラスのような透明物やウエハーのような鏡面物など、カメラが苦手とするものも計測できる。搭載するAIモデル「Thinker AI」が赤外線モジュールの計測結果に合わせてロボットハンドの指先位置を微調整するため、ラフなティーチングで運用できるという。不ぞろいなものや柔らかいものも把持できるほか、つかもうとしたものの位置や角度が変わっても追跡できるので、あらかじめ狙いを定めてピッキングするだけでなく山積みの部品を「まさぐる」ような動きも可能だ。
CEATEC 2024で開催されたピッチコンテストに登壇したThinker CTO(最高技術責任者)の中野基輝氏は「動物がものを触るとき、脳で考えるだけでなく手の神経でも情報を処理している。しかし従来のロボットは脳の部分しか模倣していなかった。近接覚センサーを用いれば、手でも考えることができる」と語った。
ブースでは、TK-01を搭載したロボットハンドとカワダロボティクスのヒト型ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」を組み合わせ、キッティング作業のデモを紹介した。名刺ほどの大きさのカードと3種類のねじをビニール袋に入れるというものだ。対象物をつかみ損ねると自らやり直す。
TK-01シリーズはセンサー基板とAI基盤からなる「TK-01N」を販売しているほか、センサー基板を防じんケースに収めた「TK-01G」を開発中だ。
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