寿命10年も マクセルが産業用全固体電池モジュール開発 : バックアップ用電源に最適
マクセルは、産業機器のバックアップ用電源に適した「全固体電池モジュール」を開発した。10年以上の寿命が期待されるため、現行の一次電池を新製品に置き換えれば、電池を定期的に交換する手間を省き、生産ラインの稼働率低下を抑えることが可能となる。
マクセルは2024年11月、産業機器のバックアップ用電源に適した「全固体電池モジュール」を開発したと発表した。10年以上の寿命が期待されるため、現行の一次電池を新製品に置き換えれば、電池を定期的に交換する手間を省き、生産ラインの稼働率低下を抑えることが可能となる。
産業機器向け全固体電池モジュールの外観[クリックで拡大] 出所:マクセル
開発した全固体電池モジュールは、2023年より量産を始めたセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」を最大5個搭載したモジュール。安全性はもとより長寿命で高耐熱といった特長がある。充電回路や昇圧回路を搭載したことで、産業用ロボットやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)など、産業機器のバックアップ電源に用いられている一次電池の置き換えが可能である。
産業機器では、突然に停電した場合でもメモリやリアルタイムクロックに電源を供給し続けるため、バックアップ電源として一次電池が搭載されている。この一次電池は定期的に交換する必要があり、製造ラインの稼働率が一次的に低下するなど課題もあった。開発した全固体電池モジュールは寿命が10年以上と長く、繰り返し使用できる二次電池のため、こうした課題を解決できるという。
全固体電池モジュールの主な仕様は、入力電圧がDC4.0〜24.0V、出力電圧はDC3.6V、出力電流は10μA〜10mA、環境温度範囲は−10〜85℃などとなっている。なお、出力電圧や環境温度範囲は顧客対応が可能だという。
産業機器に搭載されるバックアップ用一次電池を、開発品に置き換えるイメージ[クリックで拡大] 出所:マクセル
医療機器向け電池の生産倍増に50億円投資、マクセル
マクセルは2024年9月13日、今後需要拡大が見込まれる医療機器向け一次電池の増産に向けて小野事業所(兵庫県小野市)に約50億円を投資し、2027年度中に生産能力を現状比で2倍に増強すると発表した。
エネルギー密度100倍の全固体電池向け新材料、TDK
TDKは、充放電可能なセラミック全固体電池「CeraCharge」の次世代品に向けて、従来の約100倍のエネルギー密度の全固体電池用材料を開発したと発表した。
Li金属負極採用の全固体電池、−25〜120℃で動作
デンソーと九州大学の研究グループは、新しい焼結機構を活用することで、750℃という低温焼結とLi金属への安定性を両立させた「固体電解質」を開発したと発表した。Li金属負極を用いて作製した全固体電池は、−25〜120℃という広い温度範囲で動作することを確認した。
105℃環境で10年稼働、システムのメンテ負担が減る全固体電池
マクセルは「SENSOR EXPO JAPAN 2023」にて、硫化物系電解質を使用した全固体電池を展示した。長寿命かつ高耐熱が特長なので、点検しにくい場所や過酷な環境下にあるインフラ設備のモニタリング/異常検知に貢献するという。また、酸化物系全固体電池と比べて高容量で最大放電電流が大きいという。【訂正あり】
小型で高精細のガラス投射型ディスプレイを開発
マクセルは、小型で精細度が高い「Bright Mirror Display(BM-Display)」を開発した。自動車のフロントガラスや商業施設の透明ガラスに、映像や情報を写し出す用途に向ける。
全固体電池採用エナジーハーベスト対応評価キット
マクセルは、全固体電池を用いたエナジーハーベスト対応の評価用キットを、ロームグループと共同で開発した。太陽光や室内照明を利用した電源システムの開発と評価を迅速に行うことができる。
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