大阪大学は、高耐熱性ポリイミドフィルムを活用した高周波伝送向け電子回路基板を、東洋紡と共同で開発した。6G(第6世代移動通信)用の電子回路基板に向ける。
大阪大学大学院工学研究科附属精密工学研究センターの大久保雄司准教授と山村和也教授らによる研究グループは2024年12月、高耐熱性ポリイミドフィルムを活用した高周波伝送向け電子回路基板を、東洋紡と共同で開発したと発表した。6G(第6世代移動通信)用の電子回路基板に向ける。
6G技術は、最大1000Gビット/秒を超える高速通信や低遅延といった特長がある。これを実現するには、高周波伝送に対応できる機器を開発する必要がある。例えば、機器に実装される電子回路基板もその1つである。高周波信号の伝送損失を抑えるため、材料としてはフッ素樹脂である「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」などが用いられている。
ところが、PTFEは加熱によって膨張しやすく、これを抑えるためにガラスクロスなどの補強材が必要であった。ただ、スマートフォンなどの通信機器では、小型で高い機能や性能を実現するため、高密度実装が不可欠となっている。このため、使用する補強材にもより薄く、均一な厚みが求められている。
研究グループは今回、東洋紡が開発した線膨張係数(CTE)が低く、高耐熱性のポリイミドフィルム「ゼノマックス」をPTFEの補強材として用いた。そして、大久保准教授らの研究グループが開発した「特殊プラズマ処理技術」を活用し、ゼノマックスとPTFEを直接接合することに成功した。この技術によって、PTFEの表面粗さを増やさず接着性が向上。この結果、伝送損失の低減と寸法安定性を実現できたという。
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