大阪大学の研究グループは名古屋大学と共同で、電気伝導性材料の「トポロジカル半金属」において、「フレキソエレクトリック効果」を観測した。新しい振動発電や振動センサーの材料として期待される。
大阪大学大学院基礎工学研究科の高橋英史講師、黒坂祐介大学院生(博士前期課程)、石渡晋太郎教授らによる研究グループは2024年10月、名古屋大学大学院理学研究科の中埜彰俊助教らと共同で、電気伝導性材料の「トポロジカル半金属」において、「フレキソエレクトリック効果」を観測したと発表した。新しい振動発電や振動センサーの材料として期待される。
特定物質に機械的圧力を加えると正電荷と負電荷が発生する圧電効果は、一般的に空間反転対称性の破れた絶縁体で観測される。これと似た現象のフレキソエレクトリック効果は、結晶の振動を電気的に制御したり、結晶をひずませることで電圧を発生させたりすることができる。しかも空間反転対称性の有無に関係なく観測されるという。ただ、こうした電気機械応答は、絶縁体材料を用いた場合で、電気伝導性を持つ材料の場合には電子の遮蔽効果により、観測するのは極めて難しかった。
そこで今回は、2次元層状化合物(Ti、V、Mo)Te2を用い、電流印加によるひずみ応答を計測した。実験では板状結晶の上下に、電極を非対称に取り付けた。そこに交流電流を流し、局所的なひずみ振動をレーザードップラー振動計で計測し、逆フレキソエレクトリック効果を観測した。
この結果、普通の半金属であるTiTe2だと、印加した電流周波数に対し2倍の周波数で振動するジュール発熱効果がみられた。これに対し、トポロジカル半金属であるMoTe2やVTe2では、印加した電流周波数と同じ周波数で振動する逆フレキソエレクトリック効果が観測できたという。
この振動現象は、結晶の反転対称性の有無に関係なく観測され、トポロジカル半金属で巨大化することが明らかになった。こうした応答の起源には、「特殊なバンド構造に由来するベリー位相が関与している」と研究グループはみている。
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