基調講演には、前衆議院議員で自民党半導体戦略推進議員連盟 名誉会長を務める甘利明氏が登壇。半導体政策には、スピード最優先で取り組んできたと強調した。同氏は半導体業界に関わり始めた6〜7年前を振り返り、「当時、政府の対応はかなりシャビ―(消極的)だった。それが今では首相が基調講演に登壇したり、ビデオメッセージを送ったりするほどになった。今回のSEMICON Japanも過去最大級になると聞いている」と述べ、潮目が完全に変わったことを示唆した。
さらに、半導体業界について「今日の1位が、明日の1位を約束されていない。それだけ競争のスピードが速い世界。イノベーションの変化をキャッチして取り入れるという緊張感、そして(追い越されるかもしれないという)恐怖感を持っている企業だけが、明日を約束されている」と語った。
甘利氏は、「半導体業界の常識のうち2つが覆される時代が訪れている」と続ける。1つ目の常識は「ファブレス半導体メーカーがこの世界を仕切ること」だとし、これについて「そうは思わない」と即座に否定。現在、AI用半導体ではNVIDIAが高いシェアを握っているものの、参入機会を狙っている企業が常に存在すると述べた。その上で、3nmプロセスなどの最先端半導体の製造をTSMC1社が担っていることについて、あまりにリスクが高いと警鐘を鳴らした。TSMCと同等あるいはそれに近い技術を持つファウンドリーをどう作るかが鍵だと語り、Rapidusへの期待を示した。2つ目の常識として、これまでは、半導体の付加価値の向上は前工程が担っていたが、「今後は後工程がその役割を果たす。後工程がイノベーションを担う」と語った。
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