三菱電機は、そよ風や人のわずかな動きなどでも効率よく発電する「電磁誘導発電モジュール」を開発した。IoTセンサー向け電源として実証実験を進め、2027年度までに実用化を目指す。
三菱電機は2025年2月、そよ風や人のわずかな動きなどでも効率よく発電する「電磁誘導発電モジュール」を開発したと発表した。IoTセンサー向け電源として実証実験を進め、2027年度までに実用化を目指す。
三菱電機はこれまで、独自の複合磁気ワイヤーを用いたコイル型発電素子と、磁界を増大させる磁気回路を組み合わせた電磁誘導発電モジュールを開発してきた。今回はこの電磁誘導発電モジュールをベースに、磁気回路に用いる磁石や磁気誘導ヨークの配置を最適化した。これによって、風速が毎秒2〜3m程度のそよ風など、極めて低速かつ軽い力の動きであっても、効率良く発電ができるようになった。
また、床板サイズが30cm角の床発電装置を試作し動作確認したところ、200mWの発電量を確認した。圧電素子を用いた従来方式の発電量は2mW程度であり、これに比べると発電量は100倍となった。しかも、床板と発電素子は非接触の構造となっている。このため、継続使用による素子の劣化もなく、部品交換が不要となった。外部電源を使わない無線式IoTセンサーを接続し実験を行ったところ、床板を1回踏むごとに測定した温度データを無線で送信できることを確認した。
床発電システムの応用例もいくつか挙げた。通路や駅などに設置すれば、床板を通行した歩行者数をカウントする交通量調査や、設置場所周辺の温度や湿度などを監視する環境調査などに活用できるという。
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