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「古くて非効率なMEMS製造が変わる」 米新興が1300万ドル調達顧客との契約も進行

米国カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップのOmnitron Sensorsは2025年1月30日(米国時間)、シリーズAの資金調達ラウンドで1300万米ドルを調達したと発表した。この資金は、同社初の製品となるMEMSステップスキャンミラーの複数市場に向けた量産加速のために使用するという。

» 2025年03月21日 13時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 米国カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップのOmnitron Sensors(以下、Omnitron)は2025年1月30日(米国時間)、シリーズAの資金調達ラウンドで1300万米ドルを調達したと発表した。この資金は、同社初の製品となるMEMSステップスキャンミラーの複数市場に向けた量産加速のために使用するという。

「イノベーションが欠如」していたMEMS業界

Omnitron Sensors 共同創業者兼CEOのEric Aguilar氏 Omnitron Sensors 共同創業者兼CEOのEric Aguilar氏 出所:Omnitron Sensors

 米EE Timesの取材に対し、同社の共同創業者でCEOを務めるEric Aguilar氏は「MEMSセンサーとMEMSミラーの製造プロセスに関して、業界はイノベーションの欠如に悩まされてきた」と述べた。もう1人の共同創業者であるTrent Huang氏は、もともとLumedyne Technologiesに勤務し、同社がGoogleに買収された後はGoogleで働いていたが、2019年にMEMSデバイスのスケーラブルな製造プロセスを開発することになった。

 そうして両氏はOmnitronを設立して独自のプロセスを開発し、現在では製造IP(Intellectual Property)として顧客に提供するほか、独自のMEMSセンサーも提供している。同社によると、MEMSセンサーの製造方法は何十年にもわたって高価で手間のかかるものに限られていたという。Omnitronの製造方法はこうした状況を改善するもので、同社のIPは幅広い分野でMEMSデバイス大量導入のニーズに対応する予定だ。具体的にはAIデータセンターの光クロスコネクトや自律航行用長距離LiDARの光学サブシステム、拡張現実(AR)ヘッドセットやアイウェアのシースルーディスプレイ、メタンガス検出用の精密レーザー分光分析などを想定しているという。

 同社のMEMSミラーは現在サンプル出荷中で、3次元(3D)ステップスキャンミラーは周波数連続変調(FMCW)波形LiDARの仕様を満たすという。Aguilar氏は「Silex Microsystemsの工場から最初のウエハーが届く予定で、Omnitronは既に顧客から3件の意向書(LOI)を受け取っている。そのうち2件は車載LiDAR向けで、1件はメタンガス検知用だ」と述べている。

低価格/高精度なMEMSデバイス提供を目指す

 Aguilar氏は「MEMSセンサーはシリコンを通じて世界に触れることを可能にするインテリジェントなマイクロスケールデバイスだ。しかし、古くて非効率的な製造方法が、半導体では一般的に見られるようなMEMSの成長を妨げてきた。だが、それが今、変わろうとしている。当社のMEMS製造IPは、手頃な価格で高精度なセンサーを大規模に量産するための新しいパラダイムを提供する。Corriente Capitalからの大規模投資とL'ATTITUDE Venturesからの追加資金によって、当社の有望な技術を提供できるようになった」と述べている。

 Aguilar氏によると、Omnitronはこの資金をエンジニアリングチームの拡大にも使う予定だという。2025年1月現在、同社の従業員数は12人だが、同氏は「2025年中に25人まで増員したい」としている。なお、LOIを締結した最初の3社は、18〜24カ月以内にOmnitronのMEMSデバイスを搭載した製品の生産を開始する予定だ。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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