SK hynixが、12層のHBM4製品のサンプルを「世界で初めて」(同社)主要顧客に出荷したと発表した。2025年下期にも量産を開始する予定だ。
SK hynixは2025年3月19日(韓国時間)、AIに不可欠なHBM(広帯域幅メモリ)の最新世代である12層のHBM4製品のサンプルを「世界で初めて」(同社)主要顧客に出荷したと発表した。認証プロセスを経て、2025年下期にも量産を開始する予定だ。
今回サンプル出荷した12層HBM4は、1秒間に2Tバイトを超えるデータを処理可能な帯域幅を実現。これは、1秒間に400本以上のフルHD映画(各5Gバイトで計算)に相当するデータを処理する水準であり、前世代のHBM3Eと比べ60%以上高速化されているという。容量についても、同社のコア技術である「advanced MR-MUF(Mass Reflow Molded Underfill)」プロセスの適用によって、12層製品で最高となる36Gバイトを実現。同社はプレスリリースの中で、「AIメモリに不可欠な業界最高の容量と速度を備えている」と強調している。
SK hynixは2022年に業界で初めてHBM3製品を量産化したほか、2024年には8層および、12層のHBM3E製品の量産化を相次いで発表。NVIDIAの主要サプライヤーとなり、HBM市場で優位性を確保、維持してきた。競合他社も開発を加速する中、HBM4でもリードを維持できるかが注目されている。なお、SK hynixは2024年5月にベルギー・アントワープで開催された「ITF World 2024」において、HBM4を当初予定より1年早く、2025年には提供できる予定だと明かしていた。
SK hynixのプレジデント兼AIインフラ責任者であるJustin Kim氏は「当社は、顧客の要求に応じ、技術的な課題を克服するための長年にわたる一貫した努力の結果、AIエコシステムにおけるフロントランナーとしての地位を高めてきた。現在、業界最大のHBMプロバイダーとして築いてきた経験を生かし、性能認証と量産準備作業を円滑に進める準備は整っている」と述べている。
SK hynixは2025年3月6日には、CMOSイメージセンサー(CIS)事業から撤退し、同部門の機能をAIメモリ事業に全面的に移管すると発表。「AI時代の到来に伴い、AIメモリ分野で一連の大きな成果を収めた後、現在大きな転換期を迎えている。グローバルAIトップ企業としての地位を強化するため、CIS部門の機能をAIメモリ事業に集約する」などと説明していた。
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