「SAE International J3016」による自動運転レベルの定義は詳細にわたっており、また専門用語が頻出する。自動運転システムの設計者には必須の内容であるものの、自動運転システムの設計と関わらない電子システムの実装技術者にとっては理解が難しい部分がある。
経済産業省製造産業局が作成した「自動運転レベルの定義」は、必要最低限の情報で一般の技術者にも自動運転レベル(レベル1〜レベル5)の違いを理解できる。
「自動運転レベルの定義」。走行環境(限定の有無)、自動化した機能、運転イメージ、運転主体の違いによってレベル1〜レベル5までの段階をまとめたもの[クリックで拡大] 出所:経済産業省製造産業局、「自動運転に関する経済産業省の取組・方針」、2023年7月24日公表、p.4(類似の図版が「2024年度版 実装技術ロードマップ」の72ページに掲載されている)レベルの定義に利用したのは走行環境(限定の有無)、自動化した機能、運転イメージ、運転主体である。走行環境ではレベル1〜レベル4が「限定あり(道路区間や交通状況、自車速度、気象環境などの条件を満たす区間のみ)」、レベル5だけが「限定なし」と定義される。
自動化した機能では、レベル1が「アクセルとブレーキ、あるいはハンドルの操作(加減速と操舵のどちらかのみ)」、レベル2〜レベル5が「アクセルとブレーキおよびハンドルの操作(加減速と操舵の両方)」となっている。またレベル2を高度化した「レベル2プラス(+)」では、一定の条件下で運転者がハンドルから手を離せる(「ハンズオフ」と呼ぶ)。さらにレベル3ではハンズオフに加えて運転者による目視が不要となる(「アイズオフ」と呼ぶ)。そしてレベル4とレベル5では、運転者が不在となる。
運転主体はレベル2+以下が運転者(ドライバー)、レベル3以上がシステムとなる。運転自動化システムの搭載事例は、レベル1とレベル2はオーナーカー(自家用車)とサービスカー(公共交通サービス(人員の輸送サービス)用車両、物流サービス(貨物の輸送サービス)用車両)に数多く見られる。レベル2+は高級オーナーカーに採用されつつある。レベル3はオーナーカーのリース販売といった限定的な商業化にとどまっている。レベル4はサービスカーの配送トラックやタクシーなどに搭載され始めた。
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