自動運転の高度化を支える自動車の通信技術:福田昭のデバイス通信(496) 2024年度版実装技術ロードマップ(16)(2/2 ページ)
上記のサブシステムは「自律型自動運転」と呼ばれる、車両内でシステムが完結する自動運転車両を実現する。一方、自車両でセンシングが困難な道路状況の変化には対処できない。
この弱点を補うのが、「協調型自動運転」と呼ばれる、自車両が周囲の道路状況を通信によって取得して運転操作に反映させる運転自動化システムである。
協調型自動運転に必要な通信のイメージ。左の上下は携帯電話網を利用した間接通信(V2N)、右の上下は周囲車両や道路インフラなどとの直接通信(V2X)の活用事例[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2024年6月11日に開催された完成報告会のスライドから)
協調型自動運転を支える通信技術には2つある。1つは「V2X(Vehicle-to-Everything)」と呼ばれる、専用周波数帯域を用いた自動車と周囲(ほかの自動車や道路インフラ、歩行者など)の直接通信技術、もう1つは「V2N(Vehicle-to-Network)」と呼ばれる、携帯電話網と自動車を接続した間接通信技術であり、両者を連携させることでレベル4、さらにはレベル5の運転自動化を実現する。
協調型自動運転で重要なのは高速道路だけでなく、一般道路も運転自動化の適用範囲に含めることだ。一般道路では信号機や歩行者、交差点形状、周囲車両、障害物、停車車両などの情報を取り込んで自車の運転操作に活用するとともに、後方車両に情報を通知する。
また自動運転に必要な動的地図情報(ダイナミックマップ)の更新データを携帯電話網を経由して自動車にダウンロードする、自動運転車両の運行状況を携帯電話網経由で監視して異常時には制御指令を送信する、といった活用事例が想定される。
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