Navitasは統合ドレイン構造、2つのゲート制御、特許取得済みの「アクティブ基板クランプ」を備えたモノリシック集積シングルチップ設計を採用し、双方向GaN ICを実現したとしている。
説明担当者は「このデバイス構造では、2つのソース端子と2つのゲート端子を備えている。双方向の電圧を扱うには、電圧が一方向のときに動作するゲートと、電圧が逆方向のときに動作する別のゲートが必要だからだ。しかし、これを適切に行わないと、シリコン基板が誤った電位にフローティングしてしまいスイッチの伝導特性が損なわれ、効率よく動作しなくなる」と説明。その対応として搭載したのが「アクティブ基板クランプ」で、自動的に基板を最も低い電位のソース端子に接続しバックゲーティング効果を排除。この結果、オン抵抗が安定し、高い性能、効率、信頼性を実現したとしている。
説明担当者は「これは非常に困難な課題だった。10年にわたりGaNを活用したIC設計に取り組んできたNavitasは、この問題を最初に解明し、モノリシックなソリューションを実現できた」と強調していた。
Navitasによると、EVやソーラー用マイクロインバーターの大手らは、システムの効率、サイズ、コスト改善に向け、単一段の双方向スイッチ(BDS)コンバーターの導入を開始していて、GaNFast対応の単一段コンバーターは、最大10%のコスト削減、20%のエネルギー削減、最大50%のサイズ縮小を実現できるとしている。
650V 双方向GaN ICには、オン抵抗100mΩの「NV6427」と50mΩの「NV6428」があり、上面冷却パッケージ「TOLT-16L」を用意。今後、より低オン抵抗の製品も拡充予定だ。
IsoFastは、この双方向GaN IC駆動用に最適化したガルバニック絶縁高速ドライバで、最大5kVの絶縁電圧を処理し、最大200V/nsの過渡耐性を備える。さらに外部負バイアス電源が不要で、高電圧システムにおいて信頼性が高く、高速で正確な電源制御を実現できるとしている。
同社CEOであるGene Sheridan氏は「これらのICは、半導体レベルでもシステムレベルでも、真に画期的で破壊的な技術だ。高効率化や、高電力密度化、簡素化、システムコスト改善を実現するだけでなく、数十億米ドル規模の複数の市場を、可能な限り持続可能な方法で変革するものだ」とコメントしている。
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