Zhang氏は「半導体マーケットのバズワードが『AI』であることは間違いない。AIが半導体業界を抜本的に変えてきている」と指摘し、「私は約30年この業界にいるが、こんなに興奮する時期はなかった」と述べた。
TSMCは2030年までに半導体市場が1兆米ドルに達すると予測している。中でも、高性能コンピューティング(HPC)が市場全体の45%、スマートフォンが同25%、自動車が同15%、IoTが同10%を占めて成長をけん引するという。こうした需要を受け、TSMCではエネルギー効率に優れた演算性能と接続性を備えた「N4」プロセス、「N3」プロセスと「N6RF」プロセスが堅調だ。また、データセンターの急増で5nmおよび3nm設計が進展し、「CoWoS」および「SoIC」パッケージングによる性能向上が加速しているという。
2nm世代としては、「N2」プロセスは2025年後半の量産開始に向けて準備が進んでいるという。Zhang氏は「256MバイトのSRAMの平均歩留まりは90%以上だ」と自信を見せる。「N2P」「N2X」プロセスも順調に開発中だとした。
2028年に量産開始予定の「A14」プロセスには新技術である「NanoFlex Pro」を採用し、N2と比較してロジック密度が20%以上、消費電力当たりの計算速度が最大15%向上する。スマホのAI機能を強化するものになる見込みだ。
2026年後半に量産開始を予定する「A16」プロセスは、「業界最高クラス」(同社)の背面電力供給性能と高いロジック密度で、データセンター向けAI/HPC製品が求める厳格な信号配線と電力供給要件に対応する。
Zhang氏は「AI需要の拡大の中で最も重要なのはエネルギー効率と演算能力だ。TSMCは将来のニーズに合った形で先端ロジックの開発を進めている。TSMCはロジックだけに注力するわけではなく、プラットフォームソリューションを提供し、顧客が魅力あるデバイスを作るサポートをしていく」とした。
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