2029年以降は、ラック1台当たりの電力供給が1MWを超えると見込まれる。この頃になると再生可能エネルギーからの供給も増えると予測されるが、再生可能エネルギーの供給は直流電力で従来の送電網よりも不安定なので、大容量のバッテリーを介して双方向に電力をやりとりする必要がある。
これに向けてInfineonは、2.3kV対応のSiCパワーモジュールを発表した。インフィニオン I2事業本部 マーケティング部 部長 藤森正然氏は「SiCは電力密度が高いが単位面積当たりの発熱量が大きく、信頼性を担保するのが難しい。Infineonは、独自の接合技術『.XT』で信頼性を高め、高効率/高電力密度/信頼性を両立させている」と説明する。
さらに、直流電力用の遮断器向けに、InfineonはSiC JFETデバイスを用意している。「直流電力の遮断は高速な制御が求められるので、機械式でなく半導体遮断器を用いる。常に電流が流れている状態での遮断なので、オン抵抗が低く低損失であることが重要で、アバランシェ耐性も必要だ。これにはMOSFETよりもJFETのほうが適している」(藤森氏)
藤森氏は「Infineonは、送電網の電力供給を受けるところから最終的にGPUで消費するところまで、全ての電力変換をターゲットにしている。今後はAIデータセンター内の機器の配置から見直すような大きな変化が起こる。そうした時代に向けて準備を進めていく」とした。
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