横浜国立大学の研究グループは、電源開発や産業技術総合研究所と共同で、排ガス中のCO2とシリコン廃材を直接反応させて、ギ酸を合成することに成功した。
横浜国立大学大学院工学研究院の本倉健教授らによる研究グループは2025年7月、電源開発や産業技術総合研究所と共同で、排ガス中のCO2とシリコン廃材を直接反応させて、ギ酸を合成することに成功したと発表した。
今回の研究では、実際に廃棄される太陽光パネルから回収したシリコンを活用し、電源開発の磯子火力発電所から排出された排ガスに含まれるCO2と反応させ、ギ酸と多孔質シリカを合成する触媒反応の開発に成功した。
実験ではまず、太陽光パネルから回収したシリコン廃材を、純粋なCO2と反応させた。ところが、シリコンはサンプル品によってCO2の還元反応が進行しないものもあった。これらのサンプル品は、シリコン表面に不純物のアルミニウムが存在していた。そこで、そのアルミニウムを塩酸で除去したところ、シリコンの反応性が向上し、全てのサンプル品でギ酸が生成されることを確認した。
次に、実際に微粉炭火力発電所より排出されたガス(CO2:約14vol%)を直接ボンベに回収。この排ガスを9気圧に昇圧して廃棄シリコンと反応させた。この結果、最大1.10mmolのギ酸を合成することに成功した。反応容器中に導入されたCO2基準のギ酸収率は73%であった。火力発電所からの排ガスを反応容器に直接導入しても、ギ酸収率はほぼ同じであった。このことは大量合成が可能なことを示すものだという。
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