ロームの第4世代炭化ケイ素(SiC) MOSFETベアチップを搭載した、ドイツ自動車部品大手Schaefflerの新型インバーターサブモジュールの量産が始まった。中国の大手自動車メーカーの新型電気自動車(EV)に搭載されるという。
ロームの第4世代炭化ケイ素(SiC) MOSFETベアチップを搭載した、ドイツ自動車部品大手Schaefflerの新型インバーターサブモジュールの量産が始まった。同製品は、中国の大手自動車メーカーの新型電気自動車(EV)に搭載される予定だ。2025年9月4日、ロームとSchaefflerが発表した。
ロームは2020年からSchaeffler(もともとは同社と合併したVitesco Technologies)と「EV向けパワーエレクトロニクスにおける開発パートナーシップ」を締結し、共同でEVに最適なSiCパワーデバイスおよびSiC搭載インバーターを開発。2023年6月にもSiCパワーデバイスの長期供給契約を締結している。今回の発表もこのパートナーシップの一環だ。
量産を開始したのは、インバーターの中核コンポーネントであるサブモジュールだ。電気駆動を論理信号で制御するために必須のパワーデバイスの構成要素で、ここで生成される高周波電流パルスが車両の電動モーターを駆動させる。
Schaefflerらは「量産を開始したインバーターブリックの性能特性は注目に値する」と強調。同製品では、最大許容バッテリー電圧を従来の800Vを大幅に上回る水準に引き上げ、最大650AのRMS電流を実現している。
同製品ではロームの第4世代SiC MOSFETベアチップを採用。「ロームのSiCパワー半導体によって、高電力密度のこのフレームマウント型サブモジュールは、コンパクトかつ高効率を実現。モジュラーかつスケーラブルな設計によって、さまざまなインバーターへの容易な統合が可能となった」としている。
同製品にはパルス幅変調(PWM)用パワーモジュールの他、DCリンクコンデンサーやDCリンクおよび冷却器を統合。さらにDC昇圧機能も備えていて、「800Vアーキテクチャの車両も400V充電ステーションで、800Vの充電速度で充電可能だ」としている。
Schaefflerのeモビリティ部門CEOであるThomas Stierle氏は「われわれは、個別のコンポーネントから高度に統合された電動アクスルに至るまで、eモビリティソリューションにスケーラビリティとモジュラー性を組み込むという戦略的アプローチによって、容易に統合可能なインバーターブリックを開発した。当社の汎用プラットフォーム開発をベースに、人気のX-in-1アーキテクチャに最適な今回の製品を、わずか1年で量産体制に導くことができた」とコメントしている。
ロームの取締役 常務執行役員 パワーデバイス事業担当の伊野和英氏は「当社の第4世代SiC MOSFETを搭載したSchaeffler製インバーターブリックの量産開始を歓迎する。当社のSiC技術はEVの効率と性能向上に大きく貢献している。Schaefflerとの協業を通じ、自動車産業における革新と持続可能性を推進していく」と述べている。
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