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DRAM市場首位のSK hynix、量産用高NA EUV初導入で競争力強化次世代メモリの開発を加速

SK hynixが量産用の高NA(開口数) EUV(極端紫外線)露光装置「TWINSCAN EXE:5200B」を韓国・利川市のファブ「M16」に導入した。

» 2025年09月08日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 SK hynixが量産用の高NA(開口数) EUV(極端紫外線)露光装置「TWINSCAN EXE:5200B」を韓国・利川市のファブ「M16」に導入した。2025年9月2日(韓国時間)、同社が発表した。

 SK hynixのR&D責任者であるCha Seon Yong氏は「この重要インフラの導入によって、当社が追求してきた技術ビジョンが実現すると期待している。急成長するAIおよび次世代コンピューティング市場が求める先端技術で、AIメモリ分野におけるリーダーシップ強化を目指す」としている。

韓国・利川市のファブ「M16」 韓国・利川市のファブ「M16」[クリックで拡大] 出所:SK hynix

1.7倍小さいトランジスタサイズと2.9倍の高密度化

 SK hynixは、2021年に10nmプロセス技術の第4世代である「1α(アルファ)nm世代」のDRAM量産でEUV露光装置を導入して以来、最先端DRAM生産におけるEUV適用範囲を拡大してきた。

 今回導入したASMLのTWINSCAN EXE:5200Bは、高NA EUV露光装置として初の量産モデルだ。1時間当たり175枚以上のウエハー処理が可能で、高NA EUV露光装置のプロトタイプである「TWINSCAN EXE:5000」と比較して約60%生産性を向上できるという。ASMLは2025年7月の決算説明会で、2025年第2四半期(4〜6月)にTWINSCAN EXE:5200Bを初出荷したことを明かしていた。

TWINSCAN EXE:5200Bの概要 TWINSCAN EXE:5200Bの概要[クリックで拡大] 出所:ASML

 SK hynixは「既存EUV露光装置を上回る次世代システムの導入は、業界が求める極限の微細化と高密度化への対応に向けた取り組みの一環だ」と説明。NAを従来の0.33から0.55へ40%向上することで、既存EUVシステム比で1.7倍小型のトランジスタサイズと2.9倍の高密度化が実現できるとしている。

次世代メモリの開発を加速

 SK hynixは近年、AIブームを受けた広帯域メモリ(HBM)需要を追い風に成長を継続。台湾の市場調査会社TrendForceによれば、2025年第1四半期にはDRAM市場でSamsung Electronicsを抜き首位の座に就き、第2四半期にはその差をさらに広げる成長を見せている。

 SK hynixは「今回の新システム導入によって、既存EUVプロセスの簡素化および次世代メモリ開発の加速を図り、製品性能とコスト競争力の向上を目指す。さらに高付加価値メモリ製品市場での地位強化と技術的リーダーシップの確立を推進する」としている。

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