図3はXiaomi 15S Proに搭載されているプロセッサ以外のXiaomi製チップの様子である。近年、Xiaomiは買ってきたチップを並べてつなぐだけでなく、差別化や優位化のために自社開発のチップをほとんどの製品に搭載している。特にカメラ系、電源系、電池系では専業半導体メーカーをしのぐ勢いでチップを開発している。
左下の電池系「P3」はネーミングの通り第3世代だ。第1世代、第2世代チップは広くXiaomiのエントリー機からハイエンド機まで採用された実績を持っている。Xiaomiがこうした分野のチップを内製化することで、欧米日の老舗半導体メーカーの採用は確実に減っている。右下はプロセッサと連動する電源IC。詳細は掲載しないがXiaomi製電源ICは他にも4個搭載されている。デジタルプロセッサとアナログ回路で構成される電源ICをチップセット化することでキメの細かい電力制御ができている(チップセット化は多くのシステムで今や常識となっている)
図4はXiaomi 15S Proの基板上のデジタルプロセッサとメモリの様子である。メモリはストレージが米Micron Technologyの1TB(テラバイト)、DRAMが韓国SK hynix製の16GB LPDDR5X。ともにQualcommやMediaTekの最上位機種でも組み合わされるチップとなっている。右下のDRAMはPOP(Package On Package)となっており、DRAMの下がXiaomi独自開発のプロセッサ「XRING O1」だ。DRAM下のXRING O1が3nm製造のプロセッサ。このプロセッサにはCPU、GPUなどの演算器は搭載されているが、QualcommやMediaTekのように、5Gモデムのベースバンドプロセッサは搭載されていないので、別チップとしてMediaTekの5Gモデム「T800」が組み合わされている。Appleの「iPhone」やGoogleの「Pixel」と同じ構成だ。AppleはAプロセッサとモデム、GoogleはTensor Gプロセッサとモデムという組み合わせだが、Xiaomi 15S Proも、同様にXRING O1とMediaTekモデムの構成になっている。
表1に、2024年4Q発売のXiaomi 15と、2025年5月発売のXiaomi 15S Proの主要チップをまとめた。Xiaomi 15はQualcommのSnapdragon 8 Eliteチップセットで構成され、Snapdragonは5Gモデムも搭載する。Xiaomi 15S Proでは5Gモデムが分離されているので、チップ点数は多くなっている。なお当然ながらXRING O1にQualcomm製の5Gモデムを組み合わせても問題はない。
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