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「AIの障壁は演算能力ではなくコネクティビティ」 Marvellが力説CXLの注目も高まる(1/2 ページ)

Marvell Technologyは同社のカンファレンスで「当社はエンドツーエンドのコネクティビティメーカーだ」と述べた。AIがさらなる発展を遂げるためには、演算能力だけでなく、コネクティビティの性能も向上させていく必要があると強調する。

» 2025年12月19日 15時30分 公開
[Majeed AhmadEE Times]

 Marvell Technology(以下、Marvell)のプレジデント兼COO(最高執行責任者)であるChris Koopmans氏は、2025年12月9日に米国カリフォルニア州サンタクララで開催された「Marvell Industry Analyst Day」において「Marvellは、エンドツーエンドのコネクティビティメーカーだ」と主張した。これは、コネクティビティがAIの時流の中で、次なる大きな目玉として急速に台頭していることを明示している。

 Koopmans氏は開会の辞で「業界は今や、計算性能ではなくコネクティビティが主要なボトルネックになるという時代に突入した。というのも、今日では十分なAI計算性能を利用でき、現代のAIワークロードは数多くのプロセッサ全体で分割しなければならないからだ。その結果、高速I/OやSerDes、ダイツーダイ接続、メモリ接続、光インターコネクトなどがシステム性能全体に不可欠なものとなっている。

 そのため、先進パッケージングやチップレット、XPUアタッチシリコン、リタイマー、アクティブ電気ケーブル、長距離光エンジンなどが、AIクラスタを拡大する上での基盤となっている。Koopmans氏は「MarvellはCelestial AIを買収したことで、XPUファブリック向けに最適化された高密度な光チップレットを提供する能力を強化できる」と付け加えた。

Marvellのイベントの様子[クリックで拡大] 出所:Marvell Marvellのイベントの様子[クリックで拡大] 出所:Marvell

 さらに同氏は「AIシステムは現在、直接接続されたGPU/XPUクラスタの枠を超えて進化している。そこでMarvellが、イーサネットとUALinkの両方でスイッチングをサポートしていく」と述べている。しかし、HyperFRAME Researchのネットワーキングおよびインフラストラクチャ担当バイスプレジデント兼プラクティスリードであるRon Westfall氏が指摘したように、今回の大きな目玉の1つとなったのは、CXL(Compute Express Link)だった。

帯域幅のボトルネックに対応するCXL

 CXLと、このキャッシュコヒーレントなインターコネクト標準規格に対するMarvellのコミットメントは、Marvell Industry Analyst Dayにおいて特に注目を集めたテーマの一つとなった。CXLは、メモリのプーリングと共有を実現することで、データセンターにおける帯域幅のボトルネックに対応できる。

 CXLは、GoogleやMeta、Microsoftのようなハイパースケーラーや、ArmやAMD、Intel、NVIDIAなどのプロセッサメーカーの他、SK hynixやSamsung Electronics(以下、Samsung)などのメモリメーカーから支持を受けている。CXLの導入が急激に進んでいるのは、データ集約型のAIワークロードをめぐるメモリ帯域幅やメモリ容量などの重大なボトルネックに対応できるからだ。計算能力やメモリを、ディスアグリゲーション(分離)によって独立して拡大できるため、データセンター環境における性能を最大化することが可能だ。

 Marvellは以前に、2025年9月に米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたAIデータセンター向け技術イベント「OCP Global Summit 2025」において、LiqidとSamsungとの協業により、CXLコンピュートアクセラレーターで達成可能な大幅な性能向上についてデモ実演している。LiqidのCXLメモリプーリング/共有アプライアンスである「Liqid EX5410C」は、CXLファブリックを管理するLiqid製ソフトウェアを使用することにより、最大20TBの追加メモリまで拡大することが可能だという。

AIおよびデータセンターでのワークロードでは、CXLによって性能向上を図れるとMarvellは主張する[クリックで拡大] 出所:Marvell AIおよびデータセンターでのワークロードでは、CXLによって性能向上を図れるとMarvellは主張する[クリックで拡大] 出所:Marvell

 Marvellの「Structera A」ボードを中心として構築されたこのシステムは、MarvellとSamsungが共同開発したものだ。MarvellのStructera Aメモリアクセラレーターは、ArmのNeoverseコアを16個搭載し、最大4TBのDDR5メモリの追加に対応する。Marvellは、「ベクトル検索クエリでは、標準的なCXLメモリプーリングデバイスと比べて5.3倍の性能向上を達成した」と主張する。

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