Texas Instruments(TI)は2025年1月、車載用半導体を3製品発表した。AI処理能力において10〜1200TOPSまでのスケーラビリティを備えるSoC(System on Chip)「TDA5」をはじめ、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の高度化に向けて車載用ポートフォリオを拡充した。
Texas Instruments(以下、TI)は2025年1月6日、車載用半導体を3製品発表した。最大レベル3の自動運転をサポートするSoC(System on Chip)ファミリー「TDA5」、4次元(4D、3次元+速度)イメージングレーダートランシーバーIC「AWR2188」、10BASE-T1SイーサネットPHY「DP83TD555J-Q1」である。これらの新製品により、先進運転支援システム(ADAS)/自動運転技術の高度化を狙う。
TIは、自動運転で必要とされる計算能力やコンピューティングアーキテクチャについて説明した。条件付きの自動化であるレベル3では、“頭脳代わり”の高性能プロセッサを中心とした集中型になり、求められる演算能力は400TOPを超えるとする。このトレンドを見据えて開発したのがTDA5だ。「TDA4」の後継品種となる製品で、最大の特徴はAI処理性能において10〜1200TOPSまでのスケーラビリティがあることだ。この範囲の一部(10〜100TOPS辺り)はTDA4の処理性能と重複するが、「その範囲においては設計者が要件に応じて柔軟に選択できるようになっている」(日本TI)とする。AIアクセラレーターとして第7世代のNPU「C7」を搭載。C7については、日本TIは「TIがノウハウを蓄積してきたDSPの技術を生かしている」とする。
さらにTDA5は、ADASや車載インフォテインメント(IVI)システム、ゲートウェイといった複数のアプリケーションをシングルチップで同時に実行するクロスドメインフュージョンが可能だ。電力効率は「業界最高クラス」(TI)とする24TOPS/Wを実現している。
開発環境については、Synopsysと協業しTDA5向けの「Virtualizer Development Kit」を用意している。デジタルツイン機能によって、ハードウェアを開発する前からTDA5の評価と開発、テストができるようになる。TIは「ソフトウェア定義型車両(SDV)の開発を最大1年短縮できるだけでなく、特に、検証を低コストで実行できるようになる」と強調した。
AWR2188は8基のトランスミッターと8基のレシーバーを単一のLOP(Launch on Package)チップに統合したもので、高集積化していることによりレーダーシステムの設計を簡素化できる。特に、高さを認識できることがメリットだ。「垂直方向の角度測定を追加しようとすると、アンテナアレイを実現するために、複数のチップをカスケード接続して対応しなければならず、設計が複雑になる上に基板がかなり大きくなる」とTIは説明する。1チップで高さを測れるAWR2188によって、設計の複雑さやコストを低減できる。

左=AWR2188によってレーダーシステムの設計を簡素化できる。なお、電源管理IC(PMIC)や、AWR2188の後段につなぐマイコンは、場合によっては従来よりも少しハイエンドな製品を使う必要がある/右=AWR2188を用いたサテライトレーダーの構成例。コスト削減効果が高いという[クリックで拡大] 出所:日本TI既存品に比べてRF性能は30%向上させた。350m以上先の物体でも、より高い精度で検知できるようになるという。
TIは、クルマ周辺の環境を検知するためだけでなく、車室内向けでもレーダーの需要は高まっていると語る。「子供の姿を検知する、ドアに搭載してドアを閉める際に障害物がないか、もしくは開ける際に自転車などが来ていないかを検知する。こうした用途にもレーダーが使える」(同社)
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