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2026年の半導体市場を占う10の注目トピック大山聡の業界スコープ(96)(2/3 ページ)

» 2026年01月15日 11時00分 公開

【4】Rapidusに試作依頼するデバイスメーカーの出現

2025年12月開催の展示会「SEMICON Japan 2025」で公開された2nm GAAトランジスタの試作ウエハー[クリックで拡大]

 2025年6月、Rapidusは2nmプロセスの試作に成功したことを発表した。かなりタイトなスケジュールであるにもかかわらず、今のところ開発は計画通りに進んでいるようだ。ただしRapidusが目指す2nmの完成版を「Version 1.0」とすると、Rapidus自身も認めているように、今回成功した試作は「Version 0.2〜0.3」レベルのもので、先はまだ長い。

 Rapidusの計画によれば、2026年3月までに「Version 0.5」までこぎ着けて、Cadence、SynopsysといったEDAツールベンダーとの連携が開始される予定である。その後はツールベンダーに伴走してもらいながら完成度を高め、2026年後半には「Version 0.7〜0.8」を目指すことになる。この段階で初めてRapidusは、顧客候補に対して「ウチで試作してみませんか」とアプローチできるようになるのだ。

 Rapidusがこれらの情報をどこまで開示するかは分からないが、ことし2026年の開発の進捗がRapidusの今後の進捗を大きく左右することになるだろう。絶対に成功してほしい国家プロジェクトとして、見守りたいものである。

【5】2026年の世界半導体市場は150兆円前後まで成長する

 世界半導体市場統計(WSTS)の最新予測によれば、世界半導体市場は2025年が7722億米ドルの見込みで、2026年は9755億ドルに成長するとしている。1米ドル=155円で換算すると、2025年は119兆7000億円、2026年は151兆2000億円ということになる。

 日本政府は「半導体産業は経済安全保障のために不可欠」と考えており、2021年の段階で「日本国内における半導体生産を、現状の5兆円から2030年までに15兆円を目指す」という方針を打ち出した。日本の半導体生産は2011年から2020年まで10年間5兆円前後にとどまっており、世界シェアは15%から10%へ下落した。2030年の世界市場はきっと100兆円になっているから、シェアを15%に戻すために15兆円製造を目指そう、というシナリオだった。だが、世界市場の成長は想定以上に早く、このままでは日本の製造シェアは確実に5%を下回ることになる。AIが半導体をけん引する状況下で、日本の半導体戦略も見直す必要がありそうだ。

世界半導体製品別市場規模の実績と予測[クリックで拡大] 出典:WSTS[2025年秋季半導体市場予測]

【6】ロジック、メモリ市場は30%以上の成長維持

 AIには膨大なデータ処理が必要なので、GPUのような最先端ロジック、広帯域メモリ(HBM)のような高速DRAMが不可欠である。言い換えれば、昨今の半導体市場はロジックとメモリだけが高成長していて、それ以外の半導体市場は伸び悩みが続いているのだ。日本の半導体シェアが衰退したのは、DRAMの価格競争に敗れたこと、ロジック分野ではファブレスとファウンドリーに分業した勝ち組に追随できず、垂直統合型メーカー(IDM)にこだわったままDRAM製造ラインをシステムLSI製造で埋めようとして失敗したこと、この2つが要因である。今の日系半導体メーカーには、AIに必要な半導体を設計あるいは製造できる企業が存在しない。

 このままではAI需要の波に乗れないので、政府としてはTSMCを誘致したりRapidusを設立したり、いろいろな対策を打ち出しているが、先に述べたように、日本の半導体戦略はもう一度見直した方が良さそうである。

IC製品別市場規模の実績と予測[クリックで拡大] 出典:WSTS[2025年秋季半導体市場予測]

【7】DRAM市場が混乱、過剰投資なら後半失速の可能性あり

 2025年11月後半以降、DRAM不足が深刻な問題として浮上し始めた。原因はAI需要によるもので、HBMだけでなく、GDDRあるいはLPDDRなどがGPU向けに出荷され始めた。DRAM市場では大口価格が1カ月に20%以上も値上がりするなど、まるでスポット価格のような高騰が起こったのである。2025年10月以降、PCやスマホが年末商戦に向けて増産に入ろうとした矢先だったので、DRAM不足が大きな問題になった。

 DRAM不足は2026年末まで続く、という声も聞かれるが、年末年始のDRAM争奪戦が異常な過熱ぶりであり、筆者としてはこの状態が長く続くとは思えない。DRAMメーカー各社も非常に強気な投資を続けているので、2026年後半には状況が一変する可能性もあるのではないだろうか。

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