京セラは「CES 2026」で、スマートウォッチ型の空中ディスプレイのプロトタイプを展示した。独自設計のメタレンズを用いることで「映像が宙に浮いて」見える。メタレンズは厚みがわずか1mmで、従来よりも光学システムを大幅に小型化できる可能性がある。
京セラは「CES 2026」(2026年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)で、映像が“浮いて見える”スマートウォッチ型の「ウェアラブル空中ディスプレイ」を展示した。厚さがわずか1mmのメタレンズを用いて、ディスプレイから映像を2〜3cm浮かび上がらせて表示する。
メタレンズは、光の波長よりも小さなナノオーダーの柱状構造(メタアトム)を、基板上に多数配置して光を精密に制御するシート状のレンズだ。京セラの空中ディスプレイは、ガラス基板上にシリコン窒化(SiN)膜を成膜し、エッチングしてメタアトムを作っている。メタアトムにより、従来は1cm以上の厚みが必要だった光学レンズを1mm以下の薄さで実現できるようになる。メタアトムの高さは最大約1000nm。「1枚のレンズに複数の光学機能を搭載できるので、従来の凹凸レンズを用いた時よりも光学システムを小型化できることが最大の特徴だ。AR(拡張現実)/VR(仮想現実)用ゴーグルなどに応用すれば、かなり小型化、軽量化できるのではないか。センサーと組み合わせて、小型の車載用撮像/表示用システムなども考えられる」(京セラ)
京セラは独自のメタアトム設計技術によって、光の色に応じて結像位置が変わるメタレンズを開発。これをウェアラブル空中ディスプレイに用いた。緑色の像を奥に、赤色の像を手前に表示させることができるので「アラートなど、情報の優先度が高いものは赤色で表示させるという使い方もできる」(同社)という。
現在は赤と緑の映像しか表示できないが、今後は表示できる色の数を増やしていく。今回用いたメタレンズの直径は3cmで、それ以上のサイズは開発中だ。「メタアトムのサイズや設計を変えることで、映像の解像度も向上させていく。展示会を通じてニーズやユースケースを探っていく」(京セラ)
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